真夜+愛+麻菜実

どうも、大草です。実は私の家で愛ちゃん、真夜ちゃんと
お食事会を開いていたのですが
どうやら間違えて旦那の酒を出してしまったようで・・・・

「あ・・・あのー、愛ちゃん、そろそろ飲むのを止めたら・・・・」
おそるおそる愛ちゃんに話しかけてみるけど・・・・
「あぁ!?何だよおめぇ!! 何か文句でもあんのか!?」
「ひっ!! なな何もありませんっ!」
どうやら愛ちゃんは酔ったら怒りっぽくなるみたいです・・・・・
「ね〜ん、ま〜なみ〜ん」
私の背中に誰かが抱きついてくる
「ま・・・真夜ちゃん!?」
「ん〜、いいきもち〜〜」
ああ・・・真夜ちゃんは酔ったらこんな風になるんだ・・・・
「な〜んかあついな〜〜」
「えっ ちょっ 脱がないでよ!真夜ちゃん!」
「おお!いいぞ!! 脱げ脱げ!」
(愛ちゃんも何言ってんのよ!!)
「ん〜すずし〜い」
「あははは!! 相変わらずガキみてえな体だなぁオイ!!」
いつの間にか真夜ちゃんは一糸纏わぬ姿になっていた
「何で全部脱いでんのよ! 早く服着てよ!」
「邪魔すんじゃねぇよ!!!」
私の必死の呼びかけも愛ちゃんのせいで真夜ちゃんに届かない。旦那は今日は帰ってこないしどうしよう・・

ふと二人の方を見てみたら・・・・
「揉んだらちったぁでかくなんじゃねえのか?」
なんてことをいいながら愛ちゃんが真夜ちゃんのおっぱいをもにゅもにゅ揉んでいる
「あ〜んくすぐったいよお〜」
ちょっと二人とも何やってんのよーっ!
「え〜いっ しかえしですよお〜」
「ちょっ お前何すんだよ!」
とか言いながらなんで愛ちゃんも脱いでんのよ!
「ん〜やっぱりやわらか〜い」
「お前止めろよ〜!」
もう愛ちゃんもノリノリじゃない・・・・
そして二人が勝手に盛り上がってる中、私はこっそり部屋から出た、というか逃げた
隣の部屋で二人の酔いが冷めるまで待ってよう・・・・
「わ〜ぐちょぐちょですよ〜」
「な・・・どこさわってんだよ!!」
ちょっ・・・人ん家でいったい何やってんのよ!

しばらくして静かになったからちょっとあっちの部屋を覗いてみたら
二人抱き合ってすやすや眠っていた
二人とも裸で、ベトベトの細長い棒があったのはスルーしよう・・・
「おとなしくなると二人ともかわいいのにね・・・」

(もう少し寝かせてあげるか・・・)
そう思って私はその部屋を後にした・・・


その後起きたときに大騒ぎになったのは言うまでも無いか・・
  スポンサーサイト
パラダイスデイズ - http://numberz.net/?3905
Hな女性に大人気!!大人の為のアダルトSNSが遂に登場♪
隣の奥さん - http://ksds.jp/?adv=LP25280
隣の奥さんに直メール★圧倒的NO.1の人妻系コミュニティー♪
競馬予想スペシャリスト≫ - http://www.k-specialist.jp
有料競馬情報配信!回収率400%超えの確勝馬券術が限定キャンペーン開催中

四コマ的なSS 其の二


一,
あびる「千里ちゃんってさ、ちょっと抜けてるところあるよね」
ムカッ…
千里「あ、あびるちゃん…ちょっと聞き捨てならないんだけどなあ…
それで、私のどこが抜けてると思うの、か・し・ら・・・」


あびる「私の誕生日をスルーしたりすることかな」
千里「あっ…!?そ、それは…その…ごめん………」

あびる「いいよ、気にしないで。私のことなんて…ね」
千里「そ、そうだ!今度の日曜日、遊園地に行きましょうよ!
   前に行きたいって言ってたでしょ!ね、あびるちゃん!」

あびる「……」
ジーッ…
千里「やっぱり、怒ってる…?」

あびる「…二人」
千里「…えっ」
あびる「千里ちゃんと二人きりならいいよ」
千里「へっ!?ふ、二人って」
あびる「千里ちゃんは、イヤ?」
千里「全然全然っ!行きましょうよ!ねっ!」


(なんだか、デートみたいだね)
(デデデ…デートっ!!)
カーッ///
(ふふ、照れる千里ちゃんも可愛い…)
(て、照れてないわよっ!)



二,
(無意識の内に、あの人の姿を目で追っている。
ふんわりとした長い髪の毛から香る彼女の香りに胸の奥が掻き乱される。
何をするにも、あのあどけない笑みが脳裏に浮かんで手がおぼつかない。
そう、それは今も。
こうして彼女を見ていると、顔や体から湯気が出て沸騰しそうな程、身が熱い。
そう…これは紛れも無い…)


まとい「恋っ!!」
霧「お風呂でのぼせただけでしょうがーっ!!早く体拭いてきなさいよ!」



三,
奈美「ああ…お腹空いた〜ラーメン食べた〜い!」
倫「ったく、またラーメンか。よくまあ、飽きもせずに…」

奈美「ちっちっち…倫ちゃんはわかってないな。全然飽きないよ!
   ラーメンは毎日、三食ラーメンでも大丈夫な、食べものなんだよ!
   いや、むしろ三食お願いします!」
倫「いや…そんなこと言われても、知らないから」
倫(………!)

翌日
奈美「あっ!!私の家の隣にラーメン屋さんが!」
倫「そんなに慌てて、どうした日塔」
奈美「り、倫ちゃん、見てよ!隣にっ…」
倫「ああ、ラーメン屋だな。まあよかったではないか。運がよかった…」

ハグッ!
倫「な、な、何をするっ!?」
奈美「り〜〜んちゃん!ありがとう!これで夢のラーメン生活ができるよっ!」
スリスリ
倫「わ、私には何にも関係ないぞ!」
奈美「もう、恥ずかしがっちゃって。可愛いんだから…」
倫「知らん!それにくっつきすぎだ、バカっ!」


そして三日後…
倫「…おい、何だが顔色が悪いぞ」
奈美「ああ…倫ちゃん…もうだめ…飽きた…。今日からは牛丼を食べることにする…」
倫「自分の少ないキャラ設定をも早々と放棄するなよっ!!」



四,
お題・『あなたがいつもは言わなそうな言葉を言ってください』


晴美「じごんすもいいけど、百合もいいよねっ!」

ざわざわ
(…結構言いそうだと思うけどなあ…)
(これは想定の範囲内かな…)


あびる「静まれっ…静まれ…私の右腕っ……!」

ざわざわ
(こ、こういうのをあびるちゃんが選ぶと思わなかった!)
(これは正解だと思う…)


奈美「わたしはただの普通だよっ☆」

ざわざわ
(こ、これは酷いっ…)
(肯定してどうするのよ)


キラーン☆
あびる「じゃあ、次は加賀さんね」
愛「わ、私ですかっ!ですが…何といえば…」
奈美「ただの遊びたから、深く考えなくて大丈夫だよ」
晴美「そうそう」
愛「わ、わかりました…それでは………はっ…」
ドキドキドキドキ




愛「孕ますぞ」


シーン……


キュン☆キュン
あびる、奈美、晴美(なんだか胸がキュンってしたーーっ!)
愛「すいません!すいません!」



五,

「こ、小節先輩っ!よろしければ、こ、これを…っ!」
あびる「え…ありがとう」


「ずっと、言えませんでしたが……これが…わたしの気持ちです…」
晴美「へっー!?あ、ありがとう…!」


………

千里「あなた達、いったい女子からどれだけチョコもらってるのよっ!」
ドキッ!
晴美「そう言われても…ねえ」(十五個)
あびる「そういう千里ちゃんももらってるけど」(十二個)
千里「こ、これは後輩からだからいいの!」(六個)


一方、その頃
霧「先生…これ…全部食べるの」
智恵「食べ切れない、わよね…本当にどうしようかしら…これ…」
(総数・二百二十五個)



六,

奈美「ああ〜!来週英語のテストだよー。けど全然わかんない〜」
麻菜美「そうね。わたしも英語は全然ダメね。どうしようかしら…」

奈美「いいよね、カエレちゃんは。帰国子女だから。英語なんて朝飯前だよね」
カエレ「えっ…!?私の国は別に」
麻菜美「そっか。木村さんは外国では英語だったのよね」


パンッ!
奈美「ねえ、お願い、カエレちゃん!私達に英語教えて!」
麻菜美「本当にピンチなの。だから、ねっ。お願い!」
カエレ「だ、だから、私はちが…っ!」

奈美&麻菜美「おねがいっ!」


カエレ「・・・・」


カエレ「…し…しかたないわね…ありがたく思いなさいよ!」
奈美「ありがとうカエレちゃん!」
麻菜美「やっぱり持つべきものは友達ね」



カエレ「あ、あの…もしよかったら、英語を教えてもらえないかしら…」
あびる(本当にこういい所は可愛いんだから…)


七,
可符香「じゃあ、奈美ちゃん、バイバイ」
奈美「ん、また明日ね。ばいば〜い」


その夜
奈美「ふわっ〜げっ!?もう12時!明日は学校だから、早く寝よう」

バサッ…もぞもぞ
奈美(おやすみ……)


くん…くん…
バサッ!
奈美(ええっ!!枕から可符香ちゃんの匂いがする。な、なんで!?)
(私と遊んでるときは、ベットになんか入ってなかったし)
(じゃあ、私が目を離した時に!てか、ベットで何をしたのよ…///)



可符香「おっはよー!奈美ちゃん。あれー何だが寝不足みたいだね」
奈美「えっ…ええ、ちょっとね…」
  (わざとだ…絶対わざとだ…)



八,

………
(あっ……あれ…今何時だろ…あ、もう夕方だ…)
(風邪なんてひいて…また誰かに迷惑かけてしまって…あれ……?)

愛「み、三珠さん…あの…どうしたんですか…」
真夜「……お…お見舞いに」

愛「すいませんっ!私なんかのせいで三珠さんにいらぬ気遣いをさせて!」
真夜「……いや…風邪は…私のせいだから」
愛「違います、違います!川に落ちたのは私の不注意ですから」
真夜「だから、それは…ごめん…」
愛「あ、謝らないでくださいっ!お願いしますから!
  私の責任ですっ!すいません!すいません!」


五分後
愛「はあっ…はあっ…」
真夜「大丈夫…?」
愛「すいませんっ…ちょっと興奮しただけですから…」

真夜「けど…大丈夫そうでよかった」
愛「は、はい。もうすっかりよくなりましたし、それに…」
真夜「?」


愛「私なんかの為にお見舞いに来てくれた三珠さんのおかげで
  もう元気一杯になりました。ありがとうございます」


………
真夜「…あっ……」
愛「み、三珠さん…」

カーッ///!
愛「あっ!お顔が赤くなってますっ!」
真夜「な…なんでもない…」
愛「私の風邪がうつってしまった!私のせいです!
  すいませんっ!すいませんっ!」

真夜×翔子

「・・・・・・そろそろ目覚める頃かな・・?」
「・・・・んん・・・・・。あれ・・・・・ここは・・・・?」
「おはよう・・・・っていう時間じゃないな。まあいいや、よく眠っていたね丸井さん。」
「み・・・三珠さん!? え!なんで!? 私はついさっきまで学校にいたはずじゃ・・・・」
「ああ、ちょっと眠っててもらってたからね。ちなみにここは学校の近くの廃墟。
大声で叫んでも誰も助けには来ないよ」
「な・・・何バカなこと言ってんのよ!?」
ガシャガシャン!
「えっ!?」
「あれ?今ごろ気づいたの? 両手足拘束されてること」
「なっ・・・・!放しなさいよっ!!」
「・・・・・この私が放してあげると思う?」
「な・・・何するきよ!!」
「いや、『まとい×霧』とかけっこう人気でしょ? 
それなら『真夜×丸井』でもいけそうだと思って・・・・ほら中の人同じだし・・・・」
「そんな理由かーーーーーーーっ!!!
っつーか私達がやっても人気でるわけないじゃない! 早く帰らせて!!」
「道具もこんなにたくさん・・・・。ほら、こんな太いのもあるよ」
「人の話を聞けぇーーーーーーーーー!!!」
「ふふ・・・、今夜は帰らせてあげないよ」

(晴美×千里)安心毛布

「お願い早く教室にきて!藤吉さんじゃなきゃ止められない!」
涙目の日塔さんに呼ばれて教室に行ったらそこでは千里が暴れていた。
机はひっくり返るわ人は倒れているわ、所々に血痕が飛んでいる。
こうなってしまった千里を止められるのは私だけだ。
ふう、と小さな溜め息をついて私は千里の元へ向かった。


千里は髪を振り乱して暴れていた。
とりあえず後ろから羽交い締めにして動きを封じる。
わけがわからなくなっている千里に何度か呼びかけて、
すこし落ちついたところでスコップも取り上げて、千里を抱きしめた。
ひとつは動きを封じるため。
もうひとつはこうすると千里は大人しくなるからだ。
ぼさぼさになった髪も整えてやる。

***

「…里、千里」
晴美の声で我に帰った。
ああまた私は暴れていたのか。
教室はひどい有り様でスコップを振り回すために酷使していた腕は痛みを訴えている。
そしていま私は晴美の腕の中だ。
どういうわけか晴美にこうしてもらうと落ちつく。
それまで荒れ狂っていた感情はもう収まっていた。晴美は不思議だ。


目を閉じた。この目を開いた先はそれはそれはひどい光景なのだけれど、
今はそんなことどうでも良かった。
制服の布越しに伝わる体温が心地よい。


この腕の中なら、安心だ。

(晴美×あびる)強がりな自分

『強がりな自分』
晴美×あびる

体育の授業が終わった。
マラソンで最下位だったから、片づけをしないといけなくなった。
石灰やメジャーを体育倉庫へ運ぶ。
かごの中へストップウォッチをしまおうと奥の方へ進んだ。

「………。」
そこに私が好きな子。藤吉晴美ちゃんが気持ちよさそうに昼寝をしていた。
かわいい寝顔。小さな寝息。
このまま寝させておいてあげたいけど、そろそろ次の授業が始まってしまう。
しかたなく起こすことにした。
「晴美ちゃん。こんなところで寝ちゃダメだよ…ほら起きて」
ゆさゆさと肩を揺らす。
「晴美ちゃん…」
「ん―――――っ!」
「え…?」

晴美ちゃんが肩をつかんできた。そして胸の奥へ私を押す。
「は、晴美ちゃん?どうしたの、起きてるの?」
突然だったので、私は驚いた。
「―――」
どうやら寝ぼけているみたい。晴美ちゃんの力が強くて腕の中から抜け出せない。

仕方ないか…次の授業は出ないでいいや…
晴美ちゃんは同人誌の仕上げを寝る間も惜しんでがんばっていたらしいし…起こしちゃうのは可哀想だよね…でも
好きな子がこんなに近くにいるんだもん。…寝息が当たっている距離で…

「……んっ」
キスをする。最初は気づかれないように。でも私は舌を入れる。
自分で晴美ちゃんのと絡める。
「んっ…くっ…っふ…ぅ…はぁっ…。…晴美ちゃん…?」
「んぅ…」
まだ寝ているみたい。…大丈夫…まだ…起きないよね…。


私は晴美ちゃんの細くて長い指を胸へ持っていく。
「んっ…はっ…っ…」
自分の手と晴美ちゃんの指を使って胸を揉んでみる。
もう片方の晴美ちゃんの手をおしりへ持っていく。
「……あっ…、…あ、れ?」

指が勝手に動いていた。

「あははー…おはよーっ」
「!、は、はる、みちゃ、起きてたんだ…」
「うん…キスした頃からかなぁ」
思わず気が動転してしまいそうだった。
「…寝てるフリなんてやめてよ」
冷静さを保ちつつ私は言葉を放つ。
「そう言われても…とても声をかけられる状況じゃなくてさ…」
「…確かにそうかもね」
しまった…どうしよう、顔が赤くなっていくのがわかる。
「それにね…いつも大人しいあびるちゃんがどんな事してくるのか、少し興味があってさ…あははー」
あんなに積極的だったとは思わなかったよ、と晴美ちゃんが言う。な、何か言い訳を考えないと…。
「ほ、ほら。晴美ちゃんってば、いつも千里ちゃんと居て、2人になる時間があんまりなくって」

晴美ちゃんが好きだから、と言えばいいのに言えない。

「千里ちゃんと晴美ちゃん毎日やってるんだし、たまには私とでもいいんじゃないかとか思って」
「え、えと、つまり、あびるちゃんは構ってほしかったの?」
うん、そうだよ、と言えばいいのに言えない。

「動物みたいに言わないでよ」
どうして、素直に言えないのだろう。

「あ、ごめん、表現の仕方が悪かったかな?」
そんなことない、だってその通りなんだもん。でも言えない。


「そうかもね」
「でも、遠慮せずに言ってくれればよかったのに」
「そうかもしれなかったね」

どうしてこんなとき、私は強がってしまうのだろう。
自分が自分でイヤになる。

「じゃあ。今から可愛がってあげるっ」
「だから動物みたいに言わな」
「覚悟しなよ…?」

そう言って晴美ちゃんは私の口を奪う。舌を入れてくる。
…私も舌を出す。いやらしい音が倉庫の中で広がる。
晴美ちゃんは私の体操服をまくり上げ、胸で遊びだす。
気持ちいいのに、私は強がって声を上げない。
晴美ちゃんはキスしながら。胸で遊びながら。ブルマの上をなぞってきた。
「っあ…!」
思わず舌の動きを止めて、声をあげてしまった。
晴美ちゃんは私の後ろにまわりこみ、首筋をなめてくる。
「っ!」
耳を噛んでくる。顎をなめてくる。私はくすぐったくて声が出てしまう。

「あびるちゃん、ブルマの上からでも濡れてるのわかるよ…?」
「っあ、っそ、う…っ」
耳元で囁かれ、ますます感度が上がる。そして彼女はこう言う。
「私の指だけで濡れちゃってたなんて…エッチな子なんだね…ふふっ」
「そ、そんなこと!」
私は思わず大きく叫ぶ。
晴美ちゃんは構わず首筋を吸って、赤い痕をつけてくる。そしてそこを舐めるのだ。
「…っ…」

「あびるちゃん…かわいいよ…」

そう言って私の秘部へ人差し指を入れた。
「っあ…くっ…!」


「あびるちゃん、声出していいんだよ?」
彼女は意地悪そうに言ってくる。
「わ、たしは、声、出さない人なん、だ、っから…っ!」
強がってしまう。でも晴美ちゃんは囁く。
「私は、あびるちゃんの声、ききたいなぁ…」
そして中指を入れてきた。

「ひぃ…っくぁ…!」
「ほらほら。声聞かせてくれないと3本目入れちゃうよぉ?」
指の抜き差しのはやさが速まってくる。どんどん気持ちよくなってくる。
「っ、ふっ、んっ、くっ」
声を押し殺す。どうしてなんだろう。意地、張ってるのかな…私。
「ほぉら。出しなよ、声。」
「だっ、からぁ、わた、っしは、」
「ふうん…。じゃあ、無理矢理にでも出させてあげるよ」
そして薬指が入ってきた。3本をバラバラの方向に動かされる。

「ひっ、うっ、っくっ、んっ、ふっ、っ!」
もう駄目だ。声が…出てしまう…声…が…!
「いぁっ、ひゃ、んぁっ、だめっ、くぁっ!」
絶頂を迎える寸前。意識が遠のいていく。
「ほら…大きい声出しちゃっていいから…」
「ひぁっ、ふっあ、っく、あぁあ!!」

「中がひくひくしてるよ…かわいいんだから…」
と彼女は言い、私の耳を噛んだ。



晴美ちゃんはこう言った。
「あびるちゃん、もっとわがまま言っていいんだよ?」
と。でも私はこう言う。
「そう…。でも私は言わない。だって」

私は晴美ちゃんにキスをする。

「迷惑、かけたくないしね。自分の事は自分でするし。自分からじゃなくて、人に助けてもらうなんて、私の性格じゃないから。」
そう言って私は倉庫から出て行った。

(あびる×晴美)返してほしいのなら。

『 返してほしいのなら。』
あびる×晴美

家に帰って、明日の授業の予習をするためカバンの中からノートを取り出そうとしたら
「ネタ帳…?」
“ネタ帳”と書かれたノートが入っていた。
中をのぞいてみると…

「うわぁ、すごい。…ネコ耳プレイでナップル受けって…」

男の人の裸体のイラストに、ネコ耳としっぽがつけられているイラストが描かれていた。
私は思わず言葉を失ってしまう。どうしよう…だって、
「しっぽ…って…」
しっぽプレイ、いいかもね…。やってみたくなってきた…!
持ち主はあの子しかいないと思うし。明日…やってみようかな…。
思わずにやけてしまった。



『今日の放課後、誰も居なくなるまで教室で待っていてください。渡したいものがあります。』
そう書いた手紙を下駄箱に入れる。名前はあえて書かないでおく。
私は千里ちゃんに、晴美ちゃんが媚びていた時に使っていたネコ耳を借りた。

そして放課後――。
「あれ、まだ帰らないの?」
「あ、うん!ちょっとね…あははっ」
「そう。じゃあ、また明日。」
「あ、うんっ、バイバイー千里ー」
千里ちゃんが教室から出て行ったのを確認すると、私は教室へ入る。この教室には私とこの子だけになった。

「まだ帰らないの?」
「あ、うん」
「どうかしたの?」
「え、あ、いや、別に…あ、大したことじゃないんだよ?」


「…何か探しもの?」
「!、あ、うん、そう、ノートがね、あははー」
「…そう。何か見られちゃいけない事が書いてあったり?」
「え!いやいやいや!そんな事は決して…!」
「ふぅん。…じゃあこのノートは誰のだろうね…」
私は“ネタ帳”を見せる。
「!!」
驚いた表情をしてきた。メガネがずれ下がっている。
「え、どっどど、どうして持ってるの?…もしかしてあの手紙ってあびるちゃんが?」
「そうだよ…でも、このノートは、他人に見せられないような事がたくさ」
「ぎゃーーっ!、み、みみみ、見たのぉっ!?」
血相を変えて私を見てきた。
「だって、名前が書いてなかったから…」
「う、うあぁぁああぁーっ!!」
顔を真っ赤にして、床にしゃがみこんだ。
やっぱりこの子のノートだったのか。…まぁ、こんな絵を描くのはこの子しかいないし…。
「あ、あびるちゃんっ!か、返してくださいいぃぃ!」
ここまでオーバーリアクションをされると、笑えてくるよ。

…ふふ。さぁて。しっぽプレイ開始…!

「うーん。でも…そうだ。このページの格好をしてくれたら返してあげる。」
昨夜見た、ネコ耳としっぽのイラストを見せる。
「え…ええ…と、その…恥ずかしいからイヤです。」
「そう…。じゃあこのノート、みんなに見せよう…っと」
「ひぃいああぁあ!!やめて!それだけはぁっ!」
「じゃあ、やってくれる?」
「ぅぅ…ぁ、誰にも言わない…?」
「言わない。」
「…本当…?」
「本当。」
…計画通りに進んだ。
まず千里ちゃんから借りたネコ耳をつけさせる。
次はしっぽ。私の持っているしっぽに、美子ちゃんからもらったバイブをつけて出来上がり。しっぽバイブ。…その前に。

「晴美ちゃん。服も脱がないと…」
「ええっ…!?」
「だって、このイラストは裸だよ?」
「ぅぅ…っ」
制服を脱ぐ。スカートを脱ぐ。
「ほ、ほほっ、本当に…これも…?これも…?」
ブラを指差す。次にパンツを。
「もちろんだよ」
ためらいながらブラを取る。
そして水色のパンツも脱ぐ。
「ぅぅ…ぅぁっ…」
今にも泣き出しそうな顔をする。かわいいな…。

「大丈夫だよ。カーテンも教室の鍵も閉めてあるから」
私は晴美ちゃんのうしろへ回る。
「晴美ちゃんって…胸大きいよね…」
「ひぃっ!」
そして胸を揉みだす。首筋を舐める。
「うっ…ふぁっ…」
耳まで真っ赤にして、いやらしい声を出し始めた。
「あっ、びるちゃ、どうし、てこん、なことする、のぉ…っ?」
「どういう意味?」
「イ、イラスト、っの格好、するだけじゃ、ぁなかったのぉっ…?」
「だって、次のページにこんな格好のイラストが描いてあるんだもの。」
「ふぁあっ…」

そのページを見せる。男の人がネコ耳男の乳首を舐めている絵だった。
「…そっか。晴美ちゃんは、こうされたいんだ?」
「ひぃっ、ちがぁっ…はぅあぁっ!?」
イラストの通り舐めてあげる。転がしてあげる。甘噛みしてあげる。
「うぁっ…あふぁっ…!」
「次のページは…裸同士で抱き合ってキスしてる…」

…私は脱ぎだす。制服もスカートもブラもパンツも。
そして晴美ちゃんを押し倒し、抱いて、キスをする。
「んぅくっ…」

舌を絡めにいく。晴美ちゃんも絡めてくれる。
空いている右手で胸を揉み、左手で次のページをめくる。
…性器を…さすっているイラストだった。

私は晴美ちゃんの敏感な所をさわる。
「んっ、くはぁっ…ひぁぁっ…!」
そしてノートにこんなセリフが。

『どうしたんだ?感じてんのか?ははっ』

真似して言ってみる。
「どうしたの…?まさか感じちゃってたりしてる…ふふっ…」

『んなワケ、ねぇだ、ろっ…っぁ』
「そ、んな、ぁち、がうよぉっ…あっ!」
…同じ感じだ。少し面白くなってくる。次は…口で愛撫するシーン。

私は舌で愛撫する。
「ひぃっ、んぁあ、ひゃっ、めてぇ…!」
静かな教室に、晴美ちゃんの喘ぎ声と、いやらしい水の音がする。
「やぁ、っあぁあっ!」
そして次のページにはこんなセリフが。
『これだけでイクとか…どんだけだよ…っ』
『はぁっ、はぁ、だ、って、お前、すごいんだも、んっ』
真似してみる。
「これだけでイっちゃうとか…どんだけ…。」
「っはぁ、はぁ、だっ、ってぇ、すご、かったんだも、っん…っはぁ」
……。どうしてこうも同じに…。まぁいいや。次はいよいよ…挿入シーンだ…。

「…晴美ちゃん。しっぽ、入れるね?」
「ひっ!まぁ、って、まって、いや…!」
晴美ちゃんの秘部から出ているぬるぬるの汁をバイブの先っぽにつけ、
「いくよ……」
「やだっ、まってぇぇっ、んぁっ!?」
少しずつ、少しずつ入れていく。
「あ゛っ、いたっ、やぁっ、ぬっ、いてぇっ…!」

「男の子はこんなのなんだよ…いつもと違うアナはどんな気分かな…?」
「っくぁっ!やっ、ああっ…!」

全部入ったので手を離す。しっぽが生えた様だ。
顔を真っ赤にさせ、涙が目頭にたまった、可愛いメガネねこ娘。
バイブのスイッチを最小で入れる。しっぽがふるふると揺れる。

「ひゃぁ、あっ、うあっ、やっ、だぁっ…!」
次に普通。声が大きく、いやらしくなってくる。
そして最大へ。四つん這いの格好で喘ぐ。ひじが崩れる。
「ふふふ…かわいいよ、晴美ちゃん…」
「あっ、だっ、だめぇっ、やめてっ、ぬいてぇっ…!」
メガネが落ちる。腰がガクガクなっている。
「やっ、もっ、ダメぇぇっ…!」
「きちんと見ておいてあげる。かわいい顔を…。」
「ひっ、っあああっ!!」
体を反らし、ネコは果てた。

バイブの電源を切る。メガネをかけなおしてあげる。
私は制服へと着替える。
そして晴美ちゃんの横へノートを置く。
「この続きは何もないからさ…ここで終わり。」
「っはぁ、はぁ、っあ、」
「そのネコ耳は千里ちゃんの。バイブは…プレゼントするよ」
そう言って私は晴美ちゃんにキスをする。

「じゃあ。鍵、よろしくね」

そう言って私は晴美ちゃんを放置したまま、教室をあとにした。

(あびる×奈美)おしおき

『おしおき』
あびる×奈美

今日は、大好きな奈美ちゃんが私の家にテスト勉強をしに来ました…でも奈美ちゃんは途中で寝てしまいました。



「奈美ちゃんがいけないんだよ、私の家に勉強しに来たのに途中で寝ちゃうから」
「え、え、ちょっと!何するの!?」
私は奈美ちゃんの太ももの上に乗り、両手を椅子に縛り付けた。
「ごめん!あびるちゃん!勉強難しくって、眠くなってきて…」
「……おしおき、しないとね」
「!!」
私は指を奈美ちゃんの口に突っ込んだ。
1本2本、3本、4本。奈美ちゃんの口には5本目は入らなかった。
「――――――っ!かはぁっ!」
何度かむせる。苦しくて涙を流している。
その時の奈美ちゃんの顔が可愛くて、何故か心が満たされていく。
指を奥へ奥へと入れていく。奈美ちゃんがさらに苦しそうになる。
「んー!あぁあ゛――!!」
「奈美ちゃん、抜いて欲しい?」
でも私は入れた指を抜かずに動かす。
中指と薬指が奈美ちゃんのでぬるぬるになる。
右手で服のボタンをはずす。ブラは前ホックのため、すぐ開いた。
私のよりかは小さいけど、でも普通より大きい胸を揉む。
すると奈美ちゃんはさらに息が荒ってくる。
「んん、かはっ、あっ、あびるちゃ、ぬ、ひてぇっ…!」
奈美ちゃんの口から手を抜く。私の手と奈美ちゃんの口に、水上の粘り気のある糸が引いていた。
そのまま左手を胸へ持っていく。
力が抜けている体は、胸を大きく揺らし呼吸を整えようとするが、私の両手によってさらに呼吸が乱れていく。
奈美ちゃんの目から涙が。口からはよだれが出ている。
「…奈美ちゃん。おしおきはこれだけじゃないって事、わかってるよね?」
「んん、っはぁ…、」
「これからが、本番だよ?」
私は微笑む。というより、笑いがこぼれる。
「んぅっ…はぁっ、くっ、はぁっ…ぅんん!?」
奈美ちゃんの胸をなめる。両手で胸を揉む。

手は縛られ、足は私に乗られているから、奈美ちゃんは身動きが取れない。
「ん、んん、っく、はぁぁっ、」
「ふふっ。奈美ちゃん、可愛いよ…」
舌の先端を使い、乳首を転がす。
「ふっ、っくぅ、んんっ…」
甘噛みをする。
「い゛っ…」
「ん、痛かった?ごめんね…」
そのまま舌を伝わせて、胸から首、そして口へ持っていき、口づけをする。
口付けだけじゃ…物足りない…!
「奈美ちゃん、口開けて?」
「ん゛んんっ!」
口を開けてくれない。そっちがその気なら…。私は左手を奈美ちゃんのパンツにかけ、指の甲でなぞる。
「んっ、んん、んぁ、あっ」
奈美ちゃんの口が開かれると同時に舌を入れる。とても生暖かい。
でも舌を絡めてくれない。絡めたい…!
両手の動きを強める。すると奈美ちゃんは苦しそうに
「ぅんんんっ!」
とうめく。そうしたら奈美ちゃんの下も動いて。そこへ絡めに行く。
「んん、くふぅ…っ」
奈美ちゃんの肩の力が抜けてきて、目がトロンとなっていく。
気持ちいいのかな…?でもおしおきだから。こらしめないといけないから。
私は口を離す。ここでも水上の糸が引いていた。
私も少し呼吸が荒くなっていた。もう少し体力つけないとな…。
「はぁっ、奈美ちゃ、ん、気持ち、良かったんでしょ、っ、」
「んぁ、くはっ、はっ、はぁっ、」
そろそろ下を攻めようかな…秘部はさわっていないのに、私の手がぬれてきたし…。
私は奈美ちゃんのパンツを下げ、秘部をなめる。
「んぁぁっ、ひゃ、や、やめぇっ…!」
必死に抵抗する奈美ちゃんだけど、力が上手く入らないみたい。
やめて、やめて、といっているのに、私はやめてあげる気にならない。
大切な友達の叫びなのに、私の体が言うことを…きかない。

あっ、ひぁっ…あびるちゃ、やぁ、あぁぅっ…!」
顔を真っ赤にして、いつもと違う声を出す奈美ちゃんは、たまらなく可愛かった。私のモノにしたいと思ってしまった。
もう止まらない。とまれない。中指をぬるぬるになったアソコへ入れる。動かす。
「ふぁぁっ、ひ、いやぁぁ…!」
いやらしい奈美ちゃんの声と奈美ちゃんの音。もっと聞きたい。もっと聞かせて。
もっと、もっと、もっともっと
「もっと奈美ちゃんのを聞かせて…!」
私は人差し指を入れる。さっきよりも動きをはやくする。
「ん、ぁぁあぁあぁっ!」
奈美ちゃんの声が大きくなる。
「ひぁぁっ、あ、びるちゃ、なんか、じんっ、じん、してきたぁぁあ……!!」
とても可愛い声だった。私の動きがさらに速くなる。
「ひぁっ、な、っんかくるよ…!」
「奈美ちゃん、来ていいよ、さぁ…っ」
「ひぁ、あぁあっ……!!」
腰を大きく上下させ、奈美ちゃんはイってしまった。
「あっ…んぁ………」
ぐったりと、涙目で私を見ている。
「ふふふ…奈美ちゃん。今度からこんな事されたくなかったら、キチンと話は聞かないといけないんだよ…」
そう言って私は奈美ちゃんの腕に縛ってあるヒモをほどき、布団に横にさせ、毛布をかけてあげた。
「そろそろバイトの時間だからもう行くね。落ち着いたら帰りなよ?」
でも知らなかったな…奈美ちゃんの初めての相手は今日、さっきの私だったなんて。
「じゃあ」
そう言って額にキスをしてあげ、部屋から出て行った。

(まとい×霧)50分の邂逅

私は引き篭もりだ。
なった理由は当に忘れた。
今はこの小さな暗がりが、私のたった一つ居場所。
持っているものは、TVにパソコン、マンガにゲーム、無くなる気配もない気だるいココロ。

他人のことなんて気にならない。だって傍に誰もいないのだから。
だから髪も伸ばし放題で、部屋着も適当なジャージで済ませている。
たまに口煩い両親が覗きに来るけど、適当に声を張り上げれば黙って去っていく。
他人のことなんて気にならない。だって傍に誰も来ないのだから。
来る日も来る日も変わらぬ生活。
煌々とするディスプレイをひたすら眺めている。
それが楽しいのかつまらないのか、どちらかも分からない。

そんな事ももう気にならない。だって慣れすぎてしまったから。

その日も、普段と変わらない一日の筈だった。
私の脳が、鈍間に覚醒を告げる。相変わらず鬱陶しい感じだ。
寝ぼけ眼を凝らして時計を見ると、短針が11の数字を僅かに過ぎた所を指し、長針が1の数字を指していた。
「…ずいぶん早いな」
11時10分。夜更かしした割には早く起きている。
不思議さが擡げる頭を振り動かし、眠気とささやかな疑念を吹き飛ばす。
すると今度は胃が欲求を満たせ、と命じてくる。要するにお腹がすいているのである。
「…ご飯、作らないと」
断りを入れると、私はニートでは断じてない。ただの引き篭もりだ。
だから食事は自分で作る。この時だけ、私は暗がりの外へと歩みを進めるのだ。
そうして、私が鎖で雁字搦めの扉に手をかけた―その時だ。

視線を感じる。じっとりと汗が滲む。
その視線の主は、恐らく自分の背後にいるのだ。首筋がちりちりする。
今、私が手を掛けている扉から入ろうとした人間は数多くいたけれど、いきなり中にいるなんて初めての事だ。
既に食欲は消えうせ、代わりに視線の主に対する恐怖心と、奇妙な好奇心が芽生える。
「…誰?」
声を掛けてみる。どうやら、好奇心が上回ったらしい。同時に私は振り返った。

布団の枕元に、視線の主と思われる、女の子が正座していた。
目を引いたのは艶やかな着物。どこか時代を感じさせる佇まいだ。
前髪を真っ直ぐ切りそろえたおかっぱ頭が、更にそれを強調させている。
第一印象は美人。どこか神秘的なオーラさえ出しているような彼女に、思わず見惚れてしまった。
「ふふふ、やっと気付いてくれた」
艶のある彼女の声が、耳の中に響き入った。

何だろう。この感覚は?
本来なら警戒感を強めるべき場面なのに、それらは薄ら薄らと消え入ってしまう。
この見知らぬ女の子は一体誰なのか?私の知っている彼女は、もっと感じの悪い雰囲気を纏っていたのに。

…あれ?
何で初見の彼女のことなんて、私は知ってなんかいるんだろう。
頭が混乱している。訳が分からない。

「大丈夫、霧ちゃん?」
そして突然名前を呼び掛けられたものだから、心臓が飛び出るかと思った。
「な、何で私の名前を知ってるの!そもそもどうやってここに入ってきたのよ!」
興奮している私とは対称的に、彼女は務めて冷静だった。
「私も初めてのことだから、本当に来ることが出来てびっくりしてるんだけどね」
もったいぶって話しをしている。まどろっこしい。だから、もっと詰め寄ってみた。
「だから、どうやってやって来たのよ!」
彼女は顔に笑みを浮かべると、こう答えた。

「あなたを、愛しているから」

…は?
思わず固まってしまった。
何気なく時計をみると、11時25分。長針と短針が互いにそっぽを向いている。

「古典の授業であったわ。想い人に自分の姿を夢で見てもらえると、恋が成就するって」
「私も半信半疑だったけど、確かに、貴方の前に現れることが出来たわ」
「これが、夢の世界なのね」

…夢?
これが私の夢だというの?
だってここにあるものは普段と変わらない。
TVにパソコン、マンガにゲーム。見飽きたお供達。
髪の毛だってボッサボサで…

パシッと。
私の頬を、彼女は両の手で支えるように押さえた。
「うん。髪の毛もきちんと手入れされてるわね。相変わらず、とてもきれいな黒髪よ」

「触らないでよ!」
彼女の手を弾き、勢い立ちまくし立てた。
「私のことなんて知らないくせに!私はずっと一人でいたの!
 そんな風に近寄ったって、どうせすぐ離れちゃうんでしょう!
 期待させるようなこと言わないでよ!」
はぁはぁと、息が切れる。
自分でも何を言っているのかがわからない。
ただ、認めたくなかった。これが夢なら今の私はどこにいるの?
ただ、怖かった。ああいう風に、優しく触れられることが。


少し、時間が経ってからだ。
「いじめられてるの?」
彼女が優しい声で尋ねてきた。だけど、私は知らん振りをした。
「もしそうなら、私が守ってあげる」
そう言って、私の肩に手をまわしてきた。少しびっくりして、その手をまたを振り払う。
「誰とも会わないから、いじめられたりもしないよ」
…今度はどこか寂しそうな声色で、話しかけてきた。
「私達、同じ人を好きになって、いっぱい喧嘩とかしたのよ?」
「でもね、結局それは報われることのない恋」
「現金な話よね。そうなった途端、今まで憎かった貴方が、とても愛おしく思えたんだから」
「貴方は、本当に覚えてないの?」

彼女の語りを聴いていくうちに、私は落ち着きを取り戻しつつあった。
そして気付いた。まず、一番の問題点は、私の大切な毛布がここに無い事。
あれがなければ、私は生きていくことが出来ないといっても過言ではない。
なのに、私はこうして平然としていられる。
これで彼女の話す内容が、リアルに感じられてきた。
確かに、私は誰か男の人を好きでいた筈だ。その時、彼女とは正に犬猿の仲だったのだ。
先ほど「感じの悪い雰囲気」と自然と連想されたのは、これが原因なんだろう。

「…糸色先生」
眼鏡を掛けた、気弱で優しい男の姿を思い起こす。そう、結局彼が好きだったのは――それこそ、思い出したくない事だった。

「思い出したのね」
彼女の声だ。私は頷き、そして問いかけた。
「でも、私なんかでいいの?」
「ただの引き篭もりで、面白いことなんかなんにも出来ない」
「私なんかといても、退屈なだけだよ?」

私の傍には誰も来ない。だって、私がそれを拒絶しているから。

時計が見えた。11時50分。長針が、短針に追いつこうとしている。
眺めていると、彼女が唐突に話してきた。
「歌…歌ってもいいかな」
いきなりなんだろう。私はどういうことか尋ねた。
「貴方のために、創った歌。聴いて欲しいな」
そうすると彼女は息を吸い込み――


メロディーが流れる。彼女の歌声しかしない筈なのに、はっきりと聴こえる。
それは綺麗な歌。絵本のように優しくて、紙細工のように儚くて、硝子のように透き通って。
これが、彼女から私への贈り物なのか。こんな綺麗な歌が。
歌う彼女の姿は、本当に美しくて。人目で恋に落ちてしまいそうなほど。

私って馬鹿だな。
意地になって人を遠ざけていたんだもの。
こうして、誰かが傍にいてくれること。
こんなに素晴らしいこと。

 
手放したくなんかない。


瞬間、私も口ずさんでいた。ラララ、と唯それだけを。
彼女の歌の邪魔にならないよう、彼女の気持ちに応えられるよう。
私も精一杯、歌わせてもらうよ。


わたしも愛してるわ、まといちゃん。

脳が丁寧に、覚醒を促す。すっきりとした目覚め。
「…夢か」
自分は布団の上にいた。
そして今さっきまでの情事も、その中での出来事だったのだと、再確認する。
ふと気になって見てみると、自身の身体の上には、あの安心毛布がキチンと掛かっていた。
「……夢か」
もう一度呟き、上を見上げる。するとどうだろう。
「……すぅ」
まといちゃんが私の枕元で、正座しながら眠っているのだ。
その顔をじっと見つめる。私の視線を、彼女の可愛らしい顔に全力で注いで。

「んっ…霧ちゃん…」
まといちゃんは目を覚ますと、急に顔を真っ赤にし出した。
「まといちゃん、夢の中ではありがとね」
私もきっと真っ赤になっているのだろう。彼女を見上げながらそう言った。
「見ててくれたんだ。ふふふ、やっぱり成功したのね」
私を見下ろしながらまといちゃんはそう言った。
この体勢のままでも面白いのだけれど、私は毛布を羽織り、思い切って立ち上がった。
「んっーん、ふわぁあ…よく寝た…」
身体をグゥと伸ばして、欠伸をする。続いてまといちゃんも立ち上がった。
「んもう、だらしない顔しちゃって」
二人並ぶと分かることだけど、まといちゃんの方が若干背が高い。
だから、この状態でも彼女を見上げる格好になる。
「ねぇ、まといちゃん」
「ん、なあに?」
夢の中にやって来てくれた彼女。今では私が恋焦がれている女の子。
そんな彼女に、お礼をしなくちゃいけないよね。

「傍にいてくれて、歌を歌ってもらって、ありがとう。
 …今度は、私がお歌のプレゼント、してあげるね」
「…うん、待ってるよ」
にっこりと微笑むまといちゃん、私ももう口元がにやけっ放しなのだろう。
それが少し恥ずかしいから。


「」
「」


抱きしめあう、そしてキスをする。どちらからでもなく、舌を絡め合う。
そして、私にはチラッと見えてしまったのだ。
壁に掛かる時計の長針と短針が、同じように真っ直ぐな姿で抱擁を交わしているのを。
幸せな午後の時間は、当分長く続きそうだ。

(可符香×まとい)こゆび

金曜日、ですよ。その日ならいいでしょ。
 あの子はそう言った。
 私がどんなに先生の近くにいたって、雨雲みたいにまとわりついて振り切れなかった存在、それが彼女。
 鬱陶しかったし、本当の所は怖かった。彼女のことがおそろしかった。
 だから私はあの子のことを知っておこうと思ったのだ。
 視界の端の獲物を狙う、猫みたいに。

 火曜日は奈美ちゃんの日。何でもない話をしてみたり手をつないでみたり、することは至って普通。
 壁際にひたりと立てば、磨りガラスの向こう側から少しだけ焦りがちの楽しそうな話し声が聞こえてきた。あの店でお菓子が安かったとか、可愛いストラップを見つけたとか、奈美ちゃんは矢継ぎ早に話してはあの子の顔色を伺うように、中途半端に言葉を飲み込む。
 すこし気まずい間があって、何でもないようにあの子が間延びした相槌をうつ。安心したようにまた話し声が続く。
 教室では聞いたことがなかった、照れたみたいな、それでいて嬉しそうな奈美ちゃんの高めの声。楽しそうだなぁ、だけど私は加われないな、否応無しにそう分からせるような空気が窓の隙間から廊下へと漏れてきた。
 その日はしばらく立ち聞きしてから、あの子が普段と(私が見てきた上での普段、だけど)全く変わらないのを確認して、私は気配が途絶えない程度に感じられる廊下の曲がり角であの子を待つことにした。
 先回り。それが尾行の基本。別にあの子に好意を抱いている訳じゃないから、ストーカーとは言わない。
 隠し撮りしたあの子の写真の一週間分を眺めつづけて休日はバッテンじゃないことに気付いたころ、不意に慌ただしい足音が近づいてきた。
(……息が、乱れてる……奈美ちゃん? これは……泣いてるみたい)
 曲がり角で息を止めて、すぐそばを走り抜けた奈美ちゃんを見送る。
 袖が濡れてた。
 さっきまであんなに楽しそうだったのに。
 遠ざかる息づかい。私は、その後ろ姿を首を傾げて、驚きと心配とほんの少しだけの期待を込めて見送った。
 ……期待、なにを期待して?
 きゅ、と持っていた写真がこすれた。

 水曜日はあびるちゃんの日。することは……学校の教室で、なにやってるのよ。あなた達。
 流石にそれを立ち聞きするなんて無粋なことは出来ないから、私は離れたところで雰囲気だけ感じ取る。初めて見かけたときは慌て過ぎて、私がいるのを感付かれそうになった。危ない。
 毎週毎週、あの二人は何故だか険悪だ。やりとりされる言葉の一つ一つが噛み付くみたいで、本当に「そういう」仲なのか、初めの頃は疑った。
 それでもあの子はいつも通り始終笑顔で、あびるちゃんも声のトーンは変わらないから、それがあの二人の普通なのだろうと割り切った。
 その日も違いなくそういうことに発展したから、私は絶対に悟られないようにそっと壁際から離れた。
 私の背中にまとわりつく二人の間の囁き声がしつこい。うるさいうるさい、うるさいわよ。
 あの子の少し辛そうに息を止める声は、私の幻聴だったのだろうか。
 分からない、分からなくても良かったから、ともかく私は逃げるように去った。

 学校の外へもついて行ってみた。それはある日の木曜日のこと。何の部活にも入っていないのに、あの子は中々教室から帰らない。
 背中にぴったりついて歩きたいけど(ううん、したいんじゃなくてそうするのがいいってこと)、あの子は私より少し背が小さいし、横から差す夕日が私の影を落としてしまうから、仕方なく私は五歩くらい離れたところから追いかけた。
 あの子の鼻歌と夕日が溶け合って、遠くから夕飯の匂いが漂ってきて、何故だか切なくなる。
(何よ、私ったら何してるのよ、こんな所で)
 教務室でテストの採点でもしているだろう先生を思い出して、悔しくなった。
 先生とあの子の追尾は半々くらいの割合になったけど、先生は何とも思わない。私に気付くことは滅多にないから、いてもいなくても大した変わりはないみたいだった。
(いいじゃない。邪魔になるより、ましよ)
 むすっとした顔であの子を追い続けて、夕日が町並みに溶けて消えた頃、マナーモードの携帯がメールを唐突に受信した。
 一歩下がって物陰に隠れて、慎重に携帯を開いて、確認する。
(……風浦、可符香?)
 たった今目の前で上機嫌に歩くあの子からだった。
『お話があるなら、金曜日、ですよ。その日ならいいでしょ。待ってます 可符香』
 思わず携帯を落とした。バレるだなんてこともう気にしてはいなかった。
 橙から紺に溶ける町と空の境目に立っているあの子の口元は、どんな笑みを浮かべているのか私には分からなかった。

 次の日の金曜日には、あの子は誰もいない教室でずっと窓際に座っていた。
 壁越しにあの子の視線が透けてくるみたいで、まともに立っていられなかった。
 訳の分からない感情が胸の奥からじわりと滲んできて、その思いのやり場が分からなくて、私はただ画鋲の跡が沢山残る壁にきり、と爪をたてた。
 きりきり。
 くすくす。
 あの子は笑っている。分かっている。よく利く耳がその高い声を捕らえてしまう。
 その場から逃げることしか出来なかった。
(何よ、……何よ)
 あの子の笑顔、笑い声が前よりも怖くなった。

 月曜日。六限の授業が滞りなくすすむ。もうすぐ終わる頃である。いつものように教壇の下に潜んでカツカツとチョークを黒板に打ち付ける先生をじっくり眺めてから、私は珍しく自分から誰かにメールを送信する。
『月曜日でも、支障はないでしょう?』
 ちょっとだけ余裕を持てた気がした。得体の知れない、ぐるぐると渦巻くこの感情を彼女にぶつけることに決めたのだ。授業中だというのに、すぐに返信がくる。
『みんながいなくなってからがいいんですよね? 可符香』
 わかってるじゃない、にやりとして携帯を閉じた。


 さて、呼び出したはいいが何から話していいか分からず、私は先生を見送り、沢山の足音に耳を澄まし、話したいことを一つ一つ反芻して確かめていた。
 やがて教室は静まり返り、そこにあるのは私とあの子、可符香ちゃんの気配だけだった。探り合うみたいに一回、また一回と呼吸する。
 埒があかない。ようやく覚悟を決めて、私は黒板の前に躍り出た。
 ずっとこっちを見ていたのだろう、真ん中の列のさらに真ん中に座る可符香ちゃんとぴたりと目があう。まだ追尾中の気分が抜けなくて隠れなきゃいけないという強迫観念で頭が満たされたけど、なんとか持ち直して睨み返す。
 可符香ちゃんは、やっぱり笑顔だった。
「先生はいいんですか?」
 能天気とも言えるくらいの口ぶりになぜだか腹が立って、
「たまには休みくらいいるわよ」
「どうしたんですか、そんなに怒って」
「怒ってなんかないわ」
 嘘。でもそれくらいいいでしょ。あなただって吐いてるんだから。
「それなら良かったです。だって最近、まといちゃんがずっとついてくるから、私なにか怒らせちゃったかとおもって」
「だから、怒ってないの」
「……知ってますよ?」
 夕暮れの影がさした顔を傾げて向けられる視線が、無性に私の心をざわつかせる。怒っているんじゃないんだと、初めて気付く。それでもこれは何て呼ぶ感情かと尋ねられたとして、私はきっと答えることは出来ないだろうと思った。
「私のこと、嫌いなんですか? それとも違うんですか?」
 それでも妙に余裕のある可符香ちゃんに、私は思わずつっけんどんに言い返す。
「大っ嫌いよ」
 彼女の面食らった表情を見れて、すこし胸がすっとする。つかえがとれた訳ではないけれど、身動きがとりやすい程度には軽くなった。
「やっぱり知ってたのね、私がついていたこと」
「知ってましたよぉ。まといちゃんの気配ですもん」
「……随分と、軽口たたくのね。そうやってあの二人を騙くらかしたの?」
「いやだなぁ、騙すなんてことしてないですよ」
「ふぅん?」
「奈美ちゃんもあびるちゃんも、どっちも向こうから好きだって言ってくれました。ちゃんとした両思いです」
「……え」
 てっきり、可符香ちゃんが彼女達の心の隙間につけ込んであんな仲になっているんだと思っていたから、私にとってはかなりの驚きだった。
「じゃ、じゃあ、どうしてどっちかに決めないのよ」

 可符香ちゃんを取り巻く空気が張りつめた気がした。私は構わずにズンズンと可符香ちゃんに近づいて、彼女と向き合った。何かあったら何時でも退けるように、廊下を背にする。
「普通は一人だけでしょ。どうして二人も」
 そこまで言って、私は息を止めた。
 違う。息が止まったのだ。
「……ちょっと」
 可符香ちゃんが、泣いていた。
「私は、」
 笑ったままだ。まるでそれ以外に出来ないみたいに笑顔を固めたまま、可符香ちゃんは一筋、また一筋と涙を流していた。
「……私は、みんな大好きなんですよ?」
 どうしてかなあ、と震える声で呟いた。
「嬉しかったんです。好きな人から、好きですっていってもらえて……」
 私はというと、彼女が言うことが微妙に飲み込めないまま固まっていた。
「奈美ちゃんは、私のことが嫌いになりました」
 そこで奈美ちゃんが泣きながら教室から逃げていく所を思い出す。
「奈美ちゃんは私があびるちゃんとまといちゃんと仲がいいから、耐えられないって」
「はぁ!?」
 ようやく動けるようになる。私は慌てて、
「私はあなたとそんな関係じゃ、ない、わよ?」
 不覚。少しだけ動揺した。
「でもまといちゃん、私のこと追ってたでしょ。奈美ちゃん、気付いてたみたいです」
「……」
 可符香ちゃんは、涙を拭わない。
 夕焼けに可符香ちゃんの境界線が溶けて、酷く曖昧に見えた。あんなに気が立っていたのに、余り抵抗なく彼女に手を伸ばせた。
 肩に手をかけると、すこし顔をしかめられた。濡れたままの頬からは、嫌だ、という感じは受けなかったから手は放さないでおく。
「……あびるちゃんは、私の背中を引っ掻きます」
 私が肩を触った時、痛かったんだな。ふとそう理解した。
「私のこと、嫌いなんでしょうか。……何度も、何度も、引っ掻きます」
 段々と崩れる彼女の仮面を隠すように、私は可符香ちゃんの頭を抱いた。ブーツを履いているから、私の方が幾分か背が高いのだ。
「……まといちゃん?」
 全部を諦めるように、私は可符香ちゃんに囁く。多分これは、絶望とはまた違ったものなんだろう。
「いいことを教えてあげる」
 ひく、としゃくり上げる声が体越しに伝わってきた。
「奈美ちゃんは、あなたのことを嫌ってなんかない。見てて分かるわ。……それとあびるちゃんもそう」

 すこし沈黙があって、可符香ちゃんは普段からは想像もつかないような弱々しい声で訊いてくる。
「……本当、ですか?」
「嘘はつかないわ」
 可符香ちゃんの首から力が抜けて、私の頭に寄りかかってくる。
「よかった、です」
 しばらく、彼女が落ち着くまで付き合うことにした。

 日も随分落ちて、夕暮れはどんどん熟れたような濃い色へと姿を変えていく。
 すっかり元通りになった可符香ちゃんは、机の一つに腰掛けてぽつりと呟いた。
「……ほかの子たちと、違うんでしょうね。私は、全員が好きなんです。みんなみんな本当なんです」
「それは変わってるわ」
 私はそれに苦笑して返した。
「普通は一人が本気でもう一人は遊び、って感じでしょ。あったとしても」
「そうなんですか」
「そうよ」
「じゃ、まといちゃんは?」
 予想外の質問が可符香ちゃんから投げかけられて、私は一瞬うろたえ、しらばっくれた。
「どういうこと?」
「いやだなあ、そんな事まで言わせるんですか?」
 ぐ、と詰まったが、可符香ちゃんがそれ以上何もいわない雰囲気だったから、私はすこし黙って考えた。
 誰といるときだって幸せそうだった可符香ちゃん。……すこし胸の奥がジリ、と痛んだ。
 鼻歌を歌って夕日の中を歩く可符香ちゃん。
 夕飯の匂いと、その時の感情を思い出した。
 焦れるような、嬉しいような、これは。
「……可符香ちゃん。私は」
 机から降りて、可符香ちゃんは私の頭に抱きつく。さっき私がしたみたいに。
「多分、……可符香ちゃんが、好きなんだと思う」
「私も、ですよ。本当です」
「私は多分よ!」
 あくまでお茶を濁して、それでも可符香ちゃんを抱き返す。……冷えたように沈んでいく教室の中、とても温かく感じた。
 だけどね、と私は口を開く。
「このままは絶対にダメ」
「どういうことですか?」
「いつかはね、誰か一人に決めなきゃダメってこと」
 可符香ちゃんは少し強ばって、随分迷ったみたいだったけど、頷いた。
「……分かりました」
 下校完了のチャイムがゆっくりと響く。
「時間がかかるかもしれません、でも、絶対に決めます」
 離れかけた可符香ちゃんに強く抱きついて、私は片手の小指を彼女の小指に絡ませた。
 待ってる。ずっと、待ってるから。
 そういうと、可符香ちゃんは笑った。

 大好きですよ、本当の本当に。

美子×翔子

「う〜ん、今回はなかなか上手くいったわねぇ」
その日、根津美子は相棒の丸内翔子と一緒にやった『仕事』の儲けを勘定していた。
彼女達の手並みはとても僅か十といくつの高校生のものとは思えないほど鮮やかなものだった。
それだけの成果が挙げられるも、美子と翔子、息の合った二人のコンビネーションがあればこそだった。
一分の隙も見せない美子の素早い仕事ぶりと、儲けのタイミングを逃さない美子の勘と絶妙なバランス感覚。
二人は互いの足りない部分を補い合う、これ以上ない最高のパートナーだった。
「翔子ぉ、こっちは計算終わったから、まだ何か仕事があったら言ってよね」
美子は隣の部屋で彼女達の取り扱う商品の、各種在庫の整理をしている筈だった。
この分担は翔子から買って出たものであった。
今回扱った商品はごく軽いもので、段ボールいっぱいに詰めても大した重さにはないらないから、と翔子は言っていた。
しかし、そうは言っても力仕事、女の子一人ではちょっと心許ないのではないかと美子は思っていたのだ。
なるべく自分の分担を早く終わらせて、翔子の手伝いに行こう。
そう考えて急いで仕事を終わらせたのだけど……
「翔子?翔子、どうしたの?」
その翔子の返事が聞こえない。
二つの部屋を隔てる壁はごく薄いもので、美子の声が聞こえていないとは思えない。
そして、同じ理由で向こうで何か事故なんかがあったのだとしても、こちらが気付かない筈はないのだけれど。
それでも、翔子の姿を直接確認できない事がなんだか美子を不安にさせてしまう。
「翔子?…だいじょうぶ?…」
恐る恐る、美子はとなりの部屋に通じるドアを開いた。
隣の部屋は山積みの段ボールで窓を塞がれ、照明も蛍光灯が一つきりで薄暗い。
部屋を見渡した美子は、その薄暗い空間の片隅にうずくまる人影を見つけて、思わず全身を凍りつかせた。
「翔子っ!!?」
部屋の片隅に積まれた段ボールの山の脇に、翔子が倒れていた。
問題はその周囲の状況である。
そこらじゅうに散乱したいくつもの段ボール箱。
翔子の体はその段ボールの中に半ば埋もれていた。
もし在庫の整理を行っていた翔子に、崩れてきたあの段ボール箱がぶつかってきたのだとしたら……!?
「すぐ隣に居たのになんで気付かなかったのよ、私っ!!」
青ざめた顔で、美子は翔子の下へ駆け寄る。
どうしてこの程度の事に思い至らなかったのだろう?
確かに整理すべき商品は大した重さではないけれど、周囲には他の在庫商品も山積みになっているのだ。
何かの弾みでそれらが崩れてくるかもしれない事など、少し考えれば分かりそうなものなのに。
完全な不注意だ。
「翔子っ!しっかりして、翔子っ!!」
必死の表情で翔子に呼びかけながら、美子は翔子の上に乗っかった段ボールの一つに手を掛ける。
早くこの段ボールをどかして、翔子を救い出さなければ……。
しかし、である……。
「待ってて、翔子、今すぐに………って、あれ?」
その段ボールはやたら軽かった。
まるで空っぽみたいだった。
「もしかして……」
美子は翔子の体の上の段ボールを一つ一つどかし、周囲に散乱した段ボールも残らずその重さを確認してみた。
まるで、ではなく、本当に空っぽだった。
そういえば……と、美子は以前翔子と交わした会話を思い出す。
『空っぽの段ボールはとりあえずこっちの隅に固めて置いておこうよ』
(そういえば……そうだったけ。……という事は…)
美子はもう一度翔子を見た。
「………すぅすぅ……」
それはもう安らかな寝顔で、すやすやと翔子は眠っていた。
「はぁ……驚いた……」
安堵感が一気に押し寄せて、脱力した美子はその場にへたり込んだ。
おそらく、翔子は在庫の整理を終えてから、連日の疲れもあってつい眠り込んでしまったのだろう。
その時、荷物が崩れてきても危なくないこの場所をちゃんと選んだあたり、いかにも翔子らしいと言えた。
で、何かの弾みで段ボールが崩れはしたけれど、この通り翔子は無傷というわけだ。

「まあ、翔子が無事で良かったわ。今度からは在庫の整理は二人いっしょにしないとね……」
安堵の息を吐きながら、美子は一人つぶやいた。
今回は美子の勘違いで済んだから良かったものの、在庫品の増えたこの部屋が危険な場所であるのには変わりない。
何かあったとき、迅速に対応するには、どんな小さな荷物を扱うときでも二人一緒にやった方が賢明だ。
そうだ。
億が一にも、翔子に怪我なんてさせてたまるものか。
ただの勘違いで、翔子は全くの無事だと分かった今でさえ、美子の心はどこかキュッと締め付けられたみたいな苦しみを感じてしまう。
美子はしゃがみ込んで、翔子の寝顔を見つめる。
「こっちの気も知らないで、ほんと良く寝てるわ……」
言って、翔子の頭を何度か撫でて、その滑らかな髪の毛を指の隙間に遊ばせた。
安らかな、本当に安心しきった翔子の寝顔。
美子はそれにしばし見蕩れた。
「ほんと、子供みたい……」
翔子には、どこか美子の持たない天真爛漫さみたいな物を持っていた。
人付き合いを苦手としていた美子には、彼女のような人種は本来縁がないと思っていた。
だけど、彼女はいとも簡単に翔子のテリトリーに入ってきた。
一人ぼっちでいじけていた美子に、その笑顔で手を差し伸べてきた。
ずっと一人で『仕事』をやっていた美子がコンビを組むようになったのは彼女と知り合った直後の事である。
今こうして無防備な寝顔を見せているのも、翔子がそれだけ美子を信頼しているという事だった。
「翔子………」
いつの間にか、美子は翔子の傍に、額がくっつきそうなほど近くに接近していた。
「私は、翔子が好き……」
翔子と出会ったあの日から、美子の心の一番奥にしっかりと根付いたこの気持ち。
最初は戸惑った。
同性の相手にこんな感情を持ってしまった事への困惑と、それ以上に自分がこんなにも他人を好きになれたのだという驚き。
美子は悩んで、苦しんで、だけど最後にはそれを自分の感情として受け入れた。
今まで出会った事のなかったソレが、消えない、消せない、かけがえのない大切なモノであると悟ったのだ。
だけど、わからない。
自分はこの先、どうしたらいいのだろう?
自分の胸に宿ったこの気持ちは、扱いようによっては翔子を深く傷つけてしまうかもしれない。
だけど、美子は翔子に向けられた気持ちを止める事が出来ない。
美子は今も葛藤を続け、その答えは未だに出せないでいる。
「翔子……」
美子は間近で寝息を立てる翔子の顔をただ見つめる。
翔子は、美子をひとりぼっちの世界から引っ張り上げてくれた。
だけど、この気持ちを伝えたとき、翔子は今までと同じように自分に笑いかけてくれるだろうか?
いや、それよりも、翔子に気持ちを打ち明ける事は、彼女をとてつもない葛藤と苦悩の渦に引きずり込んでしまうのではないか?
翔子の心を深く深く傷つけてしまうのではないか?
そんなのは嫌だ。
だけど、でも……
「翔子、私、どうしたら……」
目の前、すうすうと寝息を立てる翔子の唇。
そこに自分の唇を重ねて、そして思いのたけを込めて「好きだ」と叫ぶことができたなら。
その時、美子の頭をある考えがよぎる。
この想いを伝える術がないのならば、この気持ちが実る事がないのならば、せめて自分の唇に彼女の体温を柔らかな感触の記憶を残したい。
(そんなのダメに決まってる……だけど………)
あふれ出してしまいそうな心の熱が、美子の背中を押す。
知らず知らずの内に、唇と唇が近付いていく。
「…あ……うぁ…」
あと僅か一センチにも満たない距離。
このまま衝動に身を任せてしまえば………
だけど!!
「……やっぱりダメっ!!!」
二人の唇が触れ合うその直前で、美子は踏みとどまった。

(…こんな…私…何考えてたのっ!!!)
つい先ほど、自分がやろうとしていた行為は、最も恐れていた筈の翔子を傷つけるものではないか。
そんな事も考えられず、ただ願望を果たす事だけを考えていた自分。
美子はそんな自分が情けなくて、悔しくて、ぼろぼろと涙をこぼして泣きじゃくる。
「……しょう…こ…ごめっ…ごめんっ!…わたし…っ!!…ごめん…ごめんね……っ!!」
何度も何度も謝罪の言葉を口にしながら、泣き続ける美子。
と、その時、その頬を伝う涙を誰かの手の平がぬぐった。
「…えっ?……ふえっ?」
「美子…泣かないで……」
優しく響いた声音に、美子はうっすらとまぶたを開けた。
ぐしぐしと涙をぬぐった美子の目の前に、こちらを見つめる翔子の微笑があった。
「…美子が謝ることなんて、何にもないよ……」
「…翔子?…あ…もしかして……」
「……うん、途中から起きてた。…美子の様子があんまり真剣だったから……ごめん…美子の話も、全部聞いちゃった……」
「翔子っ!!…ごめん…私、翔子にっ!!!」
翔子に聞かれてしまった。
自分の気持ちを。
願望に任せて、翔子の唇を奪おうとした事も何もかも。
(…全部おしまいだ。…だけど、仕方ないよね。全部私が悪いんだから……)
美子は体を起こし立ち上がって、そのまま翔子の前から逃げ去ろうとした。
だけど、そんな美子の体を優しいぬくもりが包み込む。
「…待って、美子。言ったよね、美子には謝らなきゃいけない事なんてないんだよ……」
「…翔子…でも…私ぃ……っ!!」
「ねえ、どうして一人で悩んじゃうの?美子は一人じゃない。私がここにいるんだよ」
翔子の腕に抱きしめられて、美子の体から力が抜けていく。
床に膝をついて、泣きじゃくる少女とそれをなだめる少女は互いの体をぎゅっと抱きしめ合う。
「美子はずっと私のために、こんなに悩んで、こんなに苦しんでくれてたんだね……」
「そんな…そんな事ないっ!!…私は……っ!!」
「私は、美子の気持ち、嬉しかったよ……」
「えっ!?」
意外な言葉に顔を上げた美子はそれを見た。
微笑みかける翔子の瞳、そこに浮かんだ一粒の涙が頬を伝い落ちていくところを……。
「ねえ、だから、今度は私の気持ち、聞いてくれる?」
美子はその雫が残した軌跡を呆然と見つめながら、コクリ、肯いた。
「私は美子と一緒にいたい。ずっと一緒に歩いていきたい」
「翔子……」
「美子、私は美子が好きなの……」
もはや、美子に言葉は無かった。
ただ湧き上がる感情のまま、翔子を強く強く抱きしめた。
それに応えるように、翔子の腕にもぎゅっと力が込められた。
それから、もう一度美子が顔を上げると、涙でぐしゃぐしゃになった、だけどこれ以上ないくらい嬉しそうな翔子の笑顔が見えた。
「…美子、やっと笑ってくれた……」
「…翔子だって……」
泣き笑いの二人は、互いの顔を見てクスクスと声を漏らした。
そして、そのまま見詰め合った二人の唇はゆっくりと近付いてゆき……
「翔子……」
「美子……」
そっと重ねられた唇の、涙まじりのその味は、二人の心に深く刻まれたのだった。


それからどれだけ時間が経っただろうか。
二人は隣の部屋に移動して、紅茶を飲みながらゆったりとした時間を過ごしていた。
「それじゃあ、今度からは在庫の整理は必ず行うって事で、わかった、翔子?」
「そうだね、眠ってるところに、誰かさんが唇を狙ってやって来るかもしれないし……」
「しょ、翔子ぉ!!」
「私はぜんぜん、一向に構わないけどね……」
そんな軽口に顔を赤くした美子の前で、翔子がくすくすと笑う。
その時、不意に美子の指先が翔子の手の平に触れた。
「あ……っ!?」
瞬間、電流に撃たように、美子は手の平を引っ込めようとしてしまう。
だけど……
「美子……」
その手の平を、翔子の手がきゅっと握り締めた。
「翔子……」
「ずっと一緒だって、そう言ったよね?」
やがて、頬を染めた美子の指先が、翔子の指に絡められていく。
ぎゅっと握り合った手の平の感触に、二人の少女は照れくさそうに微笑み合う。
二人の少女は言葉に出さないまま、心の奥で同じ事を祈った。
これまでも、これからも、繋ぎ合ったこの指先が離れませんように……。

(千里、晴美、美子、翔子)アフターサービス

よく知る声を耳にした。
考えるまでもなく千里の声。
晴美が、ふいとそちらに顔を向けてみると千里ともう一人、彼女達のクラスメイト、根津美子が居た。
どうにも千里は怒っているらしく、美子はそんな千里を前にして困り顔。
わかった、わかったからと、どうにかその怒りを静めようとしている。

千里が起こってる原因は何なのか?
少しは気になるけど、だいたい察しはつく。
おおかた、彼女が時々行っている詐欺まがいの商品でも掴まされたのだろう。
しかしそれを売りつけたのが千里、というのも運が悪いのかもしれない。
「あー…ご愁傷様」
どちらにともなく、ぽつりと呟いて晴美はその場を後にした。


「お疲れ様」
ぐたりと、疲れた様子で壁に体重を預ける美子に翔子が声をかけた。
美子はぷらぷらと手を振って返事をする。
「ずいぶん絞られてたね」
ふー、と深くため息を吐く美子。

「あーもう……しつこいのよ…結局返金までさせられちゃったし。それでもまだ許してくれないし」
翔子は、にこにこと笑って聞き役に回る。
「いいじゃない、そんな高いもんでもないんだし…夢を買ったとか、個人差とか……」
しばらくの間ぶつくさと文句を続けていた美子を遮って、翔子が口を開いた。
「千里ちゃんってさ…」
「ん?」
美子が翔子に顔を向けた。
翔子が、くすりと楽しそうに笑って言う。
「可愛いよね」
「……うん」
少し間を置いてから同意する美子、笑顔の翔子に、にっと笑みを返した。



むぅ、としかめっ面をしながら、千里は美子を遠くから観察している。
体育の授業が終わって、体育館に残る人は既にまばらになっていた。
そんな中で、美子はなぜか人目を避けるように、こそこそと動いていた。
つい先ほど、こっぴどく怒ったこともあり、余計にその行動が気にかかる。
(またなんか…悪いこと考えてるんじゃないでしょうね)

ちらちらと行動を監視する。
人が居なくなった体育館で、今度は美子が周囲を気にするように辺りを見回し、倉庫へと入っていった。
「怪しい…」
気になって仕方がない。
その後を追い、千里も倉庫の扉の前に立つ。
扉を開いてみると、薄暗い倉庫の隅のほうにうずくまる人影が見えた。

「え?ちょ、ちょっとどうし…」
心配になって駆け寄ろうとする千里。
だが、その背後から物陰に居た別の人間が千里を押し倒す。
「っったっ!?」
床に押し付けられた衝撃で混乱する千里の腕が取られ、後ろに回された。
「ごめんね、痛かった?」
人影が立ち上がり、千里の元に歩み寄ってくる。
「え……丸内さん?」
「そんなのいいから、速く」
そして頭の上から聞こえてくる、千里を押さえつけている者の声は美子だ。
翔子は、はいはいと返事をすると手に持った縄を、千里の腕に巻きつけてきつく縛った。

「何するつもりよ…」
千里が、二人をぎっと強く睨み上げる。
腕の自由はすっかり奪われてしまっていて、巻きついた縄はびくともしない。
「まあまあ、すぐにわかるよ」
そう言うと、美子は翔子と二人で千里の体を持ち上げた。
「きゃっ」
「暴れないでね……よいしょっ、と」
倉庫の埃くさいマットの上に千里を運び、一息つく。


「さてと……本日は、当方の商品をお買い上げになったお客様が商品の効果に疑問がある、
 とのことで、ご返品していただいたわけですが……コレ」
そう言うと、美子が透明な液体の入った小さな容器を出した。
「塗るだけでおっぱいが大きくなる魔法のローション、ね」
む、と千里が顔をしかめる。
「まったく効果がなかった、とのことですが……ちゃんと説明書通りにお使い頂けましたでしょうか?」
「当たり前でしょ、ちゃんときっちり説明書どおりに…」
「うん……えーと、まあいいや。そういうわけで」
そう言うと、美子は説明するのが面倒くさくなったといった様子で、千里の上に腰掛け体操服をめくり上げる。
「えっ!?ちょ、っちょっっ」
「アフターサービスです」
そう言いながら、翔子が千里のパッド付きのブラジャーを外すと千里の小さな胸が二人の前に晒された。

「確かに小さいね」
「これはこれで可愛いと思うけどなあ…」
なだらかな丘と小さなピンクのつぼみ。そこに翔子が手をやって軽くむにゅむにゅと揉んでみる。
それに続くように、美子は人差し指と親指でさわさわと乳首を優しく擦り上げる。
「やっぅん…」
「♪」
ツンと硬くなった乳首を摘み、こりこりと動かすたび、千里が悔しそうな顔で甘い声を上げる。
楽しそうに千里への責めを続ける美子だが、翔子に肩を叩かれて止められた。
「忘れてるよ」
美子の前にローションの入った容器を差し出しながら言う。
「あーそうだったそうだった」

容器を受け取り蓋を取り、逆さまにしてローションを千里の胸の上にかけた。
にゅるにゅるとした感触のジェルを千里の胸に広げながら、同時に胸を刺激し続けていく。


「どう?おっぱい熱い?効いてる気しない?」
「っうんぅ……あぁ…わかった…から……だから…も、やめてぇ…」
身をくねらせて、真っ赤な顔で懇願する千里に二人が微笑む。
「ありがと。じゃあ、こっから先は個人的なお付き合いってことで」
「……へ、ちょっと……なに言って?」
「千里ちゃんと仲良くなりたい、ってこと」
困惑する千里の頬を撫でて、翔子が千里にキスをする。
同時に美子が、千里のショートパンツと下着を脱がせ、下半身を露出させた。
「っんぅ!」
口を塞がれたまま、悲鳴をあげるが美子は止まらない。
「ふふっ、濡れてる。おっぱいで感じちゃったんだね」
しっとりと濡れた千里の割れ目を指でなぞりながら、美子がくすくすと笑った。

「ほんとだ、びちゃびちゃ」
美子が指で千里の秘裂を割り、その内側を翔子に見せる。
翔子は指を伸ばして千里の中へ入れ、鼻唄交じりに指を動かすとくちくちと湿った音がする。
千里の中から指を抜いて、愛液で濡れた指を美子に見せると、美子は翔子の指にちゅうと吸い付いた。
美子が指から口を離すと、今度は翔子がその唇を翔子の唇に触れさせ、
千里の愛液と互いの唾液を味わうように舌を絡めあった。
(この……二人……って)



美子が千里の内側を舌で舐めまわす。
翔子が千里の全身を撫でながら、体の至る場所にキスをして、赤い斑点を残していく。
彼女達の商品がどうした、だなんていうのはただの口実でしかない。
別にそれに対する復讐というわけでもなく、千里は二人にとって既に情欲の対象なのだろう。
与えられる快感に対する我慢の限界など、とうに超えてしまい、千里は既に何度も何度も絶頂に達している。

「っんっ!っぁぁあ!」
「あは、またイっちゃった」
がくがくと震える千里の頬を伝う涙をぺろりと舐め、荒い息をする唇を美子の唇が塞ぐ。
口内に侵入してくる舌に対して、千里は抵抗せず、むしろ自分も舌で侵入者を迎え入れる。
絶頂の余韻に浸りながら、美子と舌を絡めあう千里を見ながら、翔子が楽しそうに呟いた。
「すごいね…この子……かわいい」
「…うん」
千里から唇を離した美子が翔子のほうを振り向くと、二人は少しだけ見つめあってキスをした。

「おもちゃ、取ってくるね」
そう言うと翔子は立ち上がり、乱れた服を直して倉庫から出て行った。



翔子が去り、千里と二人きりになった美子は、千里の髪を撫でながら長い長いキスをしていた。
もう一方の手は千里の股へと行き、硬くなった芽をくりくりと擦っている。
「っふあ…千里ちゃんココ好きでしょ?」
きゅっと摘まんで軽く引っ張ってみると、千里が小さく悲鳴をあげた。
返事はせず、千里は潤んだ瞳で美子を見つめる。
「やぁらしいんだぁ」
千里の頭を胸に抱いて、指で肉芽への刺激を続ける。
千里は甘えるように押し付けられた美子の胸にキスをしていたが、しばらくするとぴくっと震えて力が抜けていく。
腕の中で身を震わせる千里の体を、美子は優しく抱きしめ、満足そうに笑う。
(ふふ、この調子なら……)

と、そのとき、美子の背後の扉が開き、薄暗い倉庫の中に光が差し込んでくる。
翔子が戻ってきた、と振り向こうとする美子だったが、何か大きな衝撃を受け床に叩きつけられたかと思うと、
彼女が千里にしたように一瞬でその体を押さえつけられ腕を取られてしまった。
続いて、背後でガチャと音がして、後ろに回された腕が固定された。
「っ!?え?」
「まったく、千里になんてことしてくれるのよ」
その声はもちろん翔子のものではない、美子が背後に振り返ってみると、千里の親友、藤吉晴美がそこに居た。
既に他の授業に入っていたようで、晴美は制服に着替えていた。
ふっと息を吐き、晴美は美子と千里はそのまま置いたまま倉庫の外へ出て行くが、すぐに戻ってくる。
小さなポーチを持って、その隣に居るのは翔子。
しかし、出て行ったときと違い、目隠しと、また今の美子と同じように後ろ手に手錠をかけられていた。

「ちょ……翔子に何して……」
「美子ちゃ…?」
「それはこっちの台詞」
どん、と翔子の体を軽く突き飛ばすと、翔子はマットの上に倒れる。
ひとまず倉庫の扉を閉め、晴美は千里の元へと向かい、縄を外した。
「ごめんね、遅くなって」
「はるみぃ…」
解放された千里は、晴美に抱きついてぐすぐすと泣き、そんな千里を晴美は落ち着かせようと優しく撫でる。
「ほら、千里は休んでて」
そう言うと、千里をマットに寝かせると晴美が立ち上がった。


「学校に何持って来てるんだか」
呆れたような笑みで、晴美はポーチの中を探る。
中から取り出したのは、コードに繋がった小さな卵形のおもちゃ。
手錠と同様に、翔子が千里に使おうと持ってきたバイブだ。
「っしょと」
「っ…!」
抵抗する美子の体を押さえつけて、服をずらし下半身を露出させる。
脚を開かせ、ぱくりと口を開けた美子の秘所を指で広げると、晴美はその中に先ほどのおもちゃを当てる。
指で美子の奥にそれを挿し込んで、再び下着と服を着せた。
「っぁん…」
「ほらこれで、翔子ちゃんとおそろいね」
言うと、晴美がコードの先のスイッチを入れ、美子の中で卵が振動を始める。

「やあ……やめてっっ!」
「千里がそう言ったらやめてくれたの?」
「くぅ…ん」
ふう、と腕を組みながら晴美は美子を見下ろすと、今度は翔子のほうへ近づいた。
頬を赤らめながらふるふると震えている翔子に、そっと触れてみると翔子はびくっと怯えるような反応をする。
「いつまでたっても千里が帰ってこないし、その上授業中だってのに翔子ちゃんが体操服姿で歩いてるじゃない?
 なーんか気になってね。まさかこんなことしてるとは思ってなかったけど…」
くしゃくしゃとその髪を撫でながら、晴美が続ける。
「ダメよ。千里は私の千里なんだから」
「痛っっ!?」
ぎゅう、と強く翔子の乳首を引っ張り上げる晴美。
「二人とも、お仕置きだね」


「じゃあ、まずは美子ちゃんから」
うつぶせにした美子の後ろに座ると、晴美は美子のショートパンツの上から秘部を擦る。
「っやだ!」
「暴れないの」
美子の脚の上に座って逃げられないようにすると、美子の腰を引かせて服を脱がせ、また下半身を露出させた。
既にぐっしょりと濡れたそこが、美子の下着との間に糸を引く。
「うわー、お漏らししたみたい」
「…うぅぅ」
「それじゃあ、覚悟してね。ちょっと痛くするから」
「へ……?っっっっ!?」
美子のヒップに手の平を沿わせたかと思うと、それを振り上げ、また勢いよく振り下ろす。
晴美の平手と、美子のヒップが気持ちの良い音を立てた。
「いっ!……ひぃっ!痛い!」
「痛くするって言ったでしょー」
何度も何度も晴美は美子のヒップに平手を打つ、美子が悲鳴を上げてもその勢いは衰えず、むしろ激しくなっていく。

「やっ……あぁ…はぁ…」
晴美の平手の形に真っ赤になったヒップを叩かれるたびに、美子は体を跳ねさせる。
息を荒げ、漏らす声はいつからか艶の混じった甘い悲鳴に変わっていた。
「……もしかして感じてない?」
「っそんな…こと……」
「そうかなあー、気持ちよさそうに見えるけど」
赤くなって、熱を持った美子の肌を撫でながら美子に囁く。
美子はぎゅっと目を閉じて、息を落ち着かせようとするが、敏感になった肌を撫でられる感覚が邪魔をする。
突然、パァン!と一層強くヒップを叩かれた美子の体が跳ねた。
「っぁんっっ!」
「ほら、やっぱり。美子ちゃんがこんなマゾっ気あるなんて意外だなー」
そう言うと、晴美は美子のヒップにキスをしながら、指で陰核をいじる。
「や、やめ……今、は……ぁぁぁ」
びくびくと体を震わせたかと思うと、美子の体から力が抜けていく。
弛緩した秘部からちょろちょろと小水を漏らし、美子が言葉にならない悲鳴を小さな声であげている。
「あらら、ほんとにお漏らししちゃった」
くすくす笑いながら、晴美は美子の愛液と尿で汚れた指を美子の服で拭いた。


晴美が携帯を取り出し、美子の痴態をカメラに収めていく。
愛液を垂らし口を開けている秘部を、既に抵抗することを諦めた快楽に浸りきった表情を。

「さーてと、次は翔子ちゃんね」
その一言で、翔子がぴくっと反応した。
小さく震える翔子にかけられた目隠しを取り、晴美がにこりと微笑んだ。
翔子の視界に、そんな晴美と一緒にぐたりと横たわった美子の姿が映った。
ずっと聴覚から伝わっていた彼女を責める音が、頭の中でこだまする。

「お願い…許して」
「痛いの嫌?んーでも、お仕置きだし」
「反省してるから!もうしないから!」
「……ほんとに?」
ぶんぶんと首を縦に振る翔子。
「そっか、じゃあ態度で示してもらおうかな」
そう言うと、晴美は千里が横たわるマットに行き、その横に腰掛けた。
「おいで」
晴美に言われるまま、翔子はずりずりと芋虫のように這って晴美の元に行く。
目の前で怯えた表情で自分を見上げる翔子ににこりと微笑むと、晴美は靴下を脱ぎ、素足を翔子の前に伸ばした。
「舐めて」
「ぅ……」
「反省してるんでしょ?」
「はい……」
かぷりと晴美の親指を口に含み、丁寧に舐める。
指の間、爪の間にも舌を這わせ、一本一本指を丁寧に舐めていく。
「よしよし、いいこいいこ。ほら、こっちも」
携帯で翔子の姿を撮りながら指示する晴美の言うとおりに翔子は動く。

「ふふ、ちゃんと反省してるみたいね」
これで許してもらえたのだろうか、と翔子が潤んだ瞳を晴美に向けると、
晴美は足を動かして、翔子の口の中へ足指を数本入れて舌を摘まんだ。
「っんぅ!?」
苦しそうな顔を見せる翔子の胸に、もう一方の足を伸ばし、服越しに胸を踏みつけるようにぐにぐにと押す。
「触ってもいい?」
翔子が首を小さく縦に振った。

翔子を自分に重なるように前に座らせて、背後から抱きしめながら晴美が翔子の胸を弄ぶ。
めくり上げた体操服の下の胸は、晴美の手から少しはみ出すほどの大きさで、柔らかな弾力と、
その先端の小さなピンクの固い感触が晴美を楽しませる。
むにゅむにゅと胸を揉まれ、首筋を舌でなぞられ、太股をもじもじと擦らせながら声を押さえる翔子。
「よし。じゃあ翔子ちゃんはちゃんと反省してくれたみたいだし、もうお仕置きはやめてあげよう」
「あ…」
口を開こうとした翔子の唇をその前に塞ぎ、口内に舌を侵入させると、翔子もまた舌を晴美の舌で歓迎する。
ちゅばちゅばと音を立てて、唾液を交換し合い長いキスを終えると、つうと二人の間に糸が引く。

「…ありがとう」
「ふふ、千里ー起きて」
「…ん」
「ほら、こっち」
そう言うと、晴美は翔子のショートパンツと下着に手をかけて下にずらした。
「え?」
「翔子ちゃんにしてあげて」
「…うん」
翔子の脚をぱかっと左右に開かせて、千里を呼ぶ。
「もう終わり……って」
「お仕置きはね。これは翔子ちゃんがいいこにできたご褒美」
「そんな……んっ」
千里に割れ目を舌でなぞられ、翔子が小さく反応する。
「やっ」
千里はまず、翔子の中から伸びるコードを持ち、引っ張り始めた。
内側から、卵がぶるぶると震えながら入り口の方へと戻ってくる。
ちゅぽ、っと音を立てて引き抜かれたそれを置き、千里が割れ目に口をつけ、愛液を音を立てて吸った。
そのまま舌を中へ侵入させ、裏側や奥を、ぺろぺろと舐めまわす。
「千里ね……上手だよ」
「っぁあっぅ…」
震えたかと思うと、くたりと弛緩する。


「軽くイっちゃった?でも、まだまだ」
舌を抜き、今度は指を二本翔子の中に挿し込む千里。
二本の指はぐりぐりと周囲をほぐした後、裏側から美子の中をカリカリと指の腹で掻く。
同時に口で陰核を含み、口内で舌を使って転がした。
「ひっぁぁ……いっちゃ…またっ」
「あははは、イっちゃえイっちゃえ」
晴美が翔子の両乳首を摘まみ上げ、涙を流しながら腰をがくがく揺らす翔子の背中に吸い付きながら言う。
翔子はぴんと弓なりに背筋を逸らしたあと硬直し、疲れ切ったように体を晴美に預けた。

千里は口はそのままで、膣内から指を抜き、愛液で濡れた指を翔子の股の下に伸ばした。
「……っぁ…そんなとこ…だめ」
「ん?どこ?どこがダメなの?ちゃんと言って」
「はっぅ……お尻の…あ…な…」
「気持ちいいでしょー」
「はぁ…」
千里が指で翔子の肛門をほぐしているうちに、しっかりそこも柔らかくなった。
千里の指に軽く入り口をほじられると翔子が可愛い声をあげ、同時に千里の指をきゅうっと締め付けてくる。
指を抜き、先ほどの卵を手にすると、千里は震えるそれを肛門にぴたりと当てながらまた秘部への刺激を再開する。
「あぁぁっ!……また…っぅ」
「気持ちいい?」
「うん……あぁぁ、いいよぉ」
「ふふ、まだまだいっぱいしてあげるから」
ちゅうっと首筋に吸い付いたかと思うと、歯を立てて翔子の体に歯形をつける。
(忘れられなくなるように、しっかり刻み込んであげるからね)


「じゃあねー、二人とも。早くしないと誰か来ちゃうかもしれないから気をつけなよ」
晴美が千里をつれて、美子と翔子を残して去っていく。
後に残された、二人はしばらくぼーっとした様子で、並んで座って呆けている。
「すごかった…ね」
沈黙を破り、翔子が口を開いた。
「…うん」
しかし、そこでまた会話は終わり、沈黙が訪れる。
次に沈黙を破ったのは、メールの着信音だった。
ポーチの中に入れていた翔子の携帯がなっている。

「藤吉さんだ」
「…何?」
「また遊ぼうね、だって」
「……」
翔子が開いて見せた携帯の画面を見せられ、美子が絶句する。
晴美に送られた一枚の画像には、今日の彼女達の痴態が映っていた。
「また…かぁ」
「……仕方ないよね、こんな弱み握られちゃったら」
「…うん…仕方ない」
少しそれを期待してしまってる自分を必死に隠しながら二人は仕方ない、と呟いていた。


「というか、何なのよあなた…私の前じゃ猫被ってたってこと?」
「えー?そういうわけじゃないけど…あの二人が千里にあんなことしてるの見て、頭いっぱいになっちゃって」
「あんなの……知らない」
「だって私、千里にされる方が好きだし……もしかしてヤキモチ焼いてくれてるの?」
「な、何を」
「あの子達にあんな風にしたのに?あ、それとも今日みたいな感じで私にムチャクチャにされたい、ってこと?」
「ううぅ…」
「……いいよ、私…千里がそうして欲しいんならもっと頑張っちゃうし。逆に千里に泣かされちゃうってのも…」
「うなっ!」
照れ隠しにスコップを振り下ろし、千里はそのまま走り去ってしまった。
「ああもう……かわいいなぁぁ……」
地面に倒れながらも晴美はのろけた顔で、去っていく千里の後姿を見送った。

(可符香×あびる)なかゆび

バイト、空いてる日は水曜日ですよね。それじゃ、水曜日にこの教室で待ってます。
 そう言って彼女は中指で自分のこめかみを触った。
 よく覚えてるね、と首を傾げるとそりゃあ覚えてますよ、と当然のように返された。そこに疑問を持っているんだとは、あえて返せなかった。
 得体が知れなかった。彼女の底には何があるのか、到底知れたものじゃなかった。
 だけどもっと分からないのは、私が彼女をいつの間にか求めていた事。
 そう考えると、一番恐ろしいのは私かもしれないね。ねぇ、可符香ちゃん。

 私たちの背丈はあまりに違いすぎる。普通にしていたら彼女の鼻先は私の胸元に埋まってしまう。
 それは流石に避けたかったみたいで(私もだけれど)、彼女は「イス、座っててください」と言った。
 ちょっと笑ったのは、一言も返さないで私がイスに座った事。何度も繰り返したことだけれど従順すぎる。いつも、私そんな物わかりのいい人間だっけ。
 さて、ようやく私を見下ろせるようになった彼女はひどく満足そうで、少し安心したように私に抱きついてきた。
 キン、と遠くでホームランを打つ音が夕暮れの教室に響く。それに構いもしない。
「これでやっと私の方が大きいですね」
「好きで高いんじゃないんだけどね」
 キツいですね、と彼女は笑ったが、私は大してキツく当たったつもりはない。身長の次は態度をデチューンしなきゃダメだろうかと、憂いがちに伏せた目線の先に彼女はツイと回り込んできた。
「やだなぁ、別に嫌じゃないですよぉ。そんな所が大好きなんですよ」
 そういっていとも容易く私の唇を塞いでみせる。その間にも目を閉じなかったのは、多分自分自身への抵抗。少なからず紅潮している自分自身の頬を戒めるため。
「ほんとにあっさり言うよね、そういうこと」
「愛情表現ですから」
「……惜しみなく?」
「ええ、ある分だけ、です」
 吐息が感じる程近い彼女は屈託もなく笑って、そのまま私の首筋に顔を埋める。
「ある分以上の愛情まで、表現していない?」
 声帯に近い所で私の声を聞いて、彼女はわっ!と驚いた。でもすぐにこう返す。
「そんなことある訳ないじゃないですか。本当です」
 そう聞こえた直後に、私の首に柔らかい感覚が触れる。
「……そう」
 それ以上は話しても無駄だ。私は今度こそ大人しくなる。撫でられて喉を鳴らす、飼いならされた猫みたいに。唯一可愛くない所は、きっと尻尾を見せないところ。でもそれは彼女だって同じだ。


「……今日は、珍しくおしゃべりですね? あびるちゃん」
 つ、と一筋首の下から上へ濡れたものがつたう。声はまだ出してやらない。
「それに少しだけ強情です」
 むー、と彼女は不満そうにしたけど、本当は楽しんでいるのが見え見えだ。
「じゃぁ」
 彼女を一度私から引きはがして、挑戦的に笑ってみせた。
「もうちょっと本気にさせてよ」
 ……今日の私は、どうかしているみたいだ。

 そう言ったけれど、彼女の笑顔が消えるだなんてことはあるはずがなく、下手をするともっと嬉しそうな目になって私に抱きついてきた。
「ほんとにあっさり言いますね、そういうこと」
「……愛情表現、なんでしょ?」
「そうだと嬉しいです」
 彼女はそのまま私の首に噛み付いてきた。思わず詰まったような声が漏れる。また、ガーゼが増えそうだ。
 回していた手は私の背中、腰、とゆっくり這っていって遂には胸に触れる。包帯できつく巻いてあって、少しだけボリュームは抑えてあった。彼女は少しだけがっかりしたようだった。
 彼女は患部でもある私の胸をただ控えめに撫でるだけだった。それがかえって私の心拍数をあおっていく。
 噛まれた所を執拗に舐められる。何回も、何回も。まるでそうするのが彼女の信条であるように。この前はもっと下の所を噛まれた。そうして、私の体にはヒトのつけた傷が増えていく。何個も、何個も。
 私の太腿に手を伸ばしてくる。なで回す。手前から、私側へ。繰り返す。
 なんなんだろう。
 なんなんだろう、こうされるたびに襲ってくる不安は。
 何度も繰り返してきたことなのに、噛まれても平気なのに、これにだけは慣れない。怖くて仕方なくなる。
 だからいつも、肝心なときになると私は彼女に抱きつくのだ。まるであやしてほしい子供のように。
「……っ!」
 背筋を何かが駆け抜ける。身を竦めた。
 手が、彼女の背中を掴む。
 びく、とまた体に何かが走る。
 無意識に、……確信犯で、彼女の背中に爪を立てる。
(安心していいよ、可符香ちゃん)
 視界すら滲んでくるほど頭の芯に打ち付ける波に耐えながら、どこか冷静に私は思う。
(将来残るほど酷くしていないから)
 彼女だって気付いているだろう、私のこの行為に。
 無意識を装って、彼女の背中に、体に、私の痕を刻む。
 直に見たことはないけれど、きっとうっすら赤い筋が白い背中の上、無秩序に散っているだろう。
 これは私自身の決心で、只の欲望で、それでいて彼女とあの子とあの子への主張。



 私は知っている。私だけじゃない、なんてことはとっくに。
 だけど構わない。
 あの子にも、あの子にだって、彼女は。
「んんっ……」
 段々と限界が近づいてくる。世界が白んでいくようで、今の私がわかるのは彼女だけだった。
 私の中に、彼女を感じた。
「……んぁ、っ」
 独占欲。支配される感覚の中で、私の頭の中はそれで一杯になる。
 渡しはしない。渡しはしない。絶対に、渡さない。
「……………!」
 一際強い衝撃があって、私は固まる。
 耳元で彼女が囁くのが聞こえる。
「あびるちゃん」
 可符香ちゃんは、私のものだ。
「大好きです。本当です」
 うそつき。
 そう言い返した声は、多分気付かれなかったんだと思う。

(晴美×千里)女乙迷彩

この本棚、壁、パソコンの中身が私の女乙全財。
その中身で隠すものがあるから、全部女乙迷彩。
上手に隠してるよ、私。ばれてないでしょ。
安心するって言ってくれたから。初めてできた友達だって言ってたから。
私、全部隠してるよ。
上手でしょ。だから褒めてよ、手放しで褒めてよ。
お願い、千里。

カップの中の氷は、掻き混ぜられてしばらくゆっくり回っていた。もう誰も回してなんかいないのに。
カフェオレが一滴、二滴としたたるスプーンにたまり兼ねて、えいっとくわえると案の定たしなめられた。
「こらっ!」
「わっ」
ぺち、と頭に衝撃。痛くはない。寧ろこうして言ってくれるだけ幸せかもだなんて思ったりする。
愛情の反対は無関心、そのグラデーションの間にある友情は心底愛しくて欝陶しいけれども。
「もぉ、昔からその癖止めないんだから。」
「だってじれったいんだもん」
「それになんで氷なのよ。もう秋でしょ。」
「だって母さんがうっかり作っちゃって」
きっちり季節考えてよね、だなんていいながら、それでもカップを傾ける。ん、と少し眉をひそめたのを見逃したりはしない。
「冷たい? やっぱりあったかいのにしようか」
珍しく気の利く発言ね、と考えたのが手に取るように分かった。そして、
「いいわよ、出してもらったんだし、最後まで飲むわ。」
そう我慢してくれるのは予測済み。

私のために、という補正をかけて冷たいカフェオレを手の平で包む千里を見て口元を緩める。ついでに自分のことも笑う。
……最低。
それにしても、とカップを手で温める千里は私の部屋を見回す。本棚は前のめりにすらなった例の「薄い本」。壁には少年漫画のポスター多々。
良心的に捉えてもまんがめがねの趣味部屋である。
「本当にすごい部屋よね……。」
流石の千里もくるたびに呆れ顔。それもそのはず、昔の私はあくまでまんがめがねであって、今みたいな濃ゆい薔薇めがねではなかったのだから。
「千里の部屋が殺風景過ぎるのー」
「どうせ殺風景よ。」
そんなことをうそぶくが今日やって来たのは彼女からだ。少なくとも、居心地は悪くないみたい……今度は慎重に心に留めて私も一口だけカフェオレを含んだ。うわ、やっぱり冷たい。これはやり過ぎだったかなと反省した。
乾いていた口の中で冷え切っていて甘ったるいものが広がって、そこでやっと液体ですら飲み込みづらいほど自分が張り詰めていたことに気付く。
……かっこわる。
「ホントに好きよね、こーいうの。」
カップを持ったまま千里は小さなテーブルに肘を乗せて、さらにその上に溜息を乗せた。
「私には分からない、かな。」
こんな言葉にすら線を引かれるような感触があって、ん、そうだね。と言葉をテーブルの縁で濁した。

この部屋にあるのは女乙全財、嘘から出た真。
それに囲まれた部屋で私が千里と話せるのは、この小さなテーブルの上だけ。
私は砦で私と千里を囲って、自分を守ろうとしている。
……そう考えると、とても滑稽。

「分からないわ。」
千里はまた同じ言葉を重ねた。さっきと意味がズレている気がして、用心深く首を傾げた。
「晴美、あなたの考えてることも。」
砦が揺らいだ。
「ねぇ晴美、正直な所を言って?」
「何、を?」

千里はまだ溶けない氷に目を落とした。私もつられて視線を落とす。
「本当に好きなの? こういう、同人誌みたいなの。」
「すきだよ」
この答えは反射的。狙撃みたいな返答に、千里は面食らったようだった。

この砦は本心を守る予防線。
私は、こういうことにしか興味ないんだよ。だから、そんなことは気にしないで早く忘れてよ、千里。

最初はほっとけないというだけの義務にそっくりな友情だった。だってまた一人で遊んでるかと思うとやるせなくて。
そのうち今日は一人で何しているんだろう、という興味に変わって。
一緒にいるうちに仲良くなった。
中学で同じクラスになって、そこでもきっちりしようと頑張る姿を見て。
……悟ってしまった。
私は、千里が大好きだ。
それもマジな方向で。
それに気づいて絶望して、絶望したら寂しくなって、千里が欲しくて欲しくて堪らなくなった。
その気持ち、衝動が千里と話したり千里に甘えられたりするたびに強くなって、私は自分で自分が怖くなった。
このままでは、千里をきっと傷付ける。
そう思って逃げ込んだのがこの趣味の世界だった。
興味がない訳でもない物が大好きなふりをするのは容易で、そのうち違和感でもなくなった。
今は本当に趣味の一つになったけれど、私のカップリング中毒は千里と距離を置くためだ。
これは、正反対の迷彩を着ることで中身の想像すら出来なくする、最大限で全力のカモフラージュ。
切実な迷彩。
だから、これを簡単に暴かれる訳にはいかない。

「なんでそんなこと聞くのよー」茶化すが、千里は真面目な顔で俯いた。
「あなたがこういうものにハマったとき、少し私と離れた気がして。」
え?
「気付いてない?」
どういう、
「私、晴美に嫌われたのかと思って」
まずい、
「すごく……、」
これは、
「すごくね、」
バレる。
沈黙だけが取り残された。
気が付くと私は、
「……晴美?」
……分からない。私は、今どうなっている?
「どうして、泣くの?」
「え」
無意識に目元に手を伸ばすと、何も考えていなかった中指と薬指が濡れた。
「ないてる」
私は、訳も分からず涙を流していた。
「え、なんで」
拭うとそれっきりで泣いた実感も湧かない涙だったけれど、確かに袖は濡れていた。
「ごめんなさい晴美、そんな、」
「気にしなくていいよ、私こそごめん」
へらへらと笑ってごまかす私の頬に、つ、と怖いくらいに冷たい感触が滑った。
「ひ、」

「本当に大丈夫?」
千里が心配そうに私を覗き込んでいた。
久しぶりに、本当に久しぶりにまともに目が合う。……離せない。
私はもう、無理だ。
ごめん千里、もう無理だよ。

「はる、」
呼びかけた私の名前を遮って、乱暴に千里を抱きしめた。身を固くするのが感じ取れる。ああ、こうしたら無条件で抱き返してもらえるように思っていた私が馬鹿だったな。
それっきりならもういい。これで皆全部壊してやる。
「ごめん千里、私千里のこと嫌いなわけじゃない」
違う。違うんだよ。搾り出すように言った。
「むしろ好き。大好き。千里、私は千里のこと好きなんだよ」
少しの沈黙をおいて、覚悟を決めた。
「ごめんなさい。もう千里とは友達でいられない。だから、私のこと嫌いになったなら、早く逃げて」
多分、自分じゃ寂しくて離せないから。
そこまで言い切って、また涙が振り返してきた。
しばらく静かになって、行き場なく止まっていた千里の手が私に怖ず怖ずと回される。
あれ、と思っていると、その腕は私を弱々しく抱き返した。
「晴美。」
声が震えていた。
「そういう大切なことは、もっと早くに言って。きっちり、してよ。」
ぐす、と啜り上げるのを聞いて、信じられなくて思わず体を離した。
「……千里?」
「晴美のばか。……私だって、すきよ、ばか。」
顔を真っ赤にしてさっきより俯く千里は、声を抑えて泣きじゃくっていた。

躊躇いがちに、きいてみる。
「……どうして?」
「晴美、私と距離置いたでしょ、そしたら、私、晴美が、……いないと、寂しいって分かって、」
そこまで言って、千里は苦しそうに息をした。
「違うんだよ千里、私は千里を傷付けるかと思って」
「そんなこと、………ばか、寂しいじゃない、ばか」
なおもしゃくりあげる千里を見て、私はその手を握ってみる。
……冷たかった。
この手は、千里の心は、私が凍えさせてしまったんだ。
一本一本、ゆっくりと指を絡ませる。私の手も余り温かくはなかったけれど、とにかくそうして千里の手を包んだ。
「いじわるしてごめん」
こつ、と額に額をぶつけると、千里が首を微かに振るのがわかる。
私と千里の冷たい手の間で、ほんの少しだけど温かさを感じた。
「大好きだよ、千里」
ようやく、笑ってくれた。
「……わたしも。」


カップの氷が溶けかけて、カランと音をたてた。

(まとい×霧)ずっと居たい

先生が失踪する。そしてすぐに帰ってくる。世間ではとんでもないこんな状況を2のへは当たり前のように過ごしていた。
皆、慣れて油断していたのだろう、どうせすぐに帰ってくると。しかし私はずっと傍にいたから分かる。誌上用のネタなんかじゃない。
今回、先生は本当に失踪する。きっと帰ってこないだろう。私はそれを見通していた。日々の情報収集や先生の観察は伊達にしていない。
そして案の定私は、深夜宿直室から出てきた先生を捕まえることができた。
  

「ははは、いたんですか…」
「えぇ、ずっと」
先生はいつも通りの凛々しくもどこか暗い印象な表情をしている。普段と違う点といえば日用品の入ってると思われるトランクを引きずっているということぐらいだろう。
「先生、もう此処に帰ってこないつもりだったでしょ。どこに行くかは知りませんけど私はずっと一緒ですよ……」
私はそんな先生の顔をじっと見つめて言った。やった。出し抜いた。ミイラにきっちり、そして座敷童もいない。本当の意味での二人きりで生活できる。そのことを想像すると興奮をも覚える。待ちに待った夢が現実となる。それがたまらなく嬉しかった。
この時の私は浮かれていたのだろう。顔を見ていたのにかかわらず先生の表情が変わったことに気付くことが出来なかった。
「ああ、全てお見通しでしたか、しかし」
そう言った先生は冷たい眼をしていた。
「もう私につきまとうのはやめてください。はっきり言って迷惑です。」
え?私には何を言っているのか理解ができなかった。昂揚していた私の脳が固まり興奮が冷めていく。一気に目頭が熱くなる。聞こえていたのに私は思わず復唱を要望してしまった。
「だから失踪先ではもうつきまとわないで下さい。迷惑です。」
先生の釘を刺すかの言い方が胸に響く。私は嫌だった。認めたくなかった。
私の愛が「迷惑」の2文字で片づけられたことを。そしてこんな現実を。
「なんでですかっ!先生っ!今までずっといたじゃないですか!そんなの嫌です!私はついていきます!絶対ついていきますから!!」
感情を剥き出し声を荒げて願望を吐き出す。夜の学校に私の荒声が響く。
「今までが迷惑だったって言ってるんですよ。それが新天地でも続く?冗談じゃありません。私はまっぴら御免ですよ。」
私の感情に任せた願望は先生にはっきりと否定された。「はいえ」とか言っている先生に。
もう私は我慢ができなかった。頬を雫が濡らす。先生にとって私は厄介者以外の何者でもなかった。そんな考えたことのない最悪な現実が私の固まった脳を激しく揺さぶる。気持ちが悪い。胸が苦しい。肩が震える。嗚咽が洩れる。
「泣かせてしまいましたか。はぁ……、貴女は最後まで迷惑な人ですね……」
泣きっ面に蜂、追い打ちを受ける。一度流れ出した涙は止まらない。
「では、もう行きますね。多分、もう会うこともないでしょう。さようなら。常月さん」
そう言って先生は振り返りもせず校門を出る。私は何も言えないし追いかける事も出来なかった。
私に出来ること。それはその場で蹲り泣く。ただそれだけだった。



 私が泣き崩れて何時間たっただろうか…実際には1時間も経ってないのかもしれないが今の私にはとても長い時間泣いたという覚えしかない。
もう涙も出し切ったのだろうか。一滴も出てこない。
先生とこんなに離れているのに何も感じない。頭が重い。
 そんな私はフラフラと魂が抜けたかのように宿直室のドアを開けた。此処が先生が住んでいた部屋。
生活感が残っている。しかしなくなっているものの多く感じられる。それは多分今頃、トランクの中だろう。
ゴミ箱にはカップラーメンの容器が捨てられている。私にはもう持ち帰る気力もない。ただのゴミにしか見えない。
実際、ただのゴミなのだが
 そして先生の寝室。布団が無造作にひかれており枕はなくなっていた。それも持っていったのだろう。
しかし枕の代わりに布団の上には何かが置いてあった。いや、居た。
布団の上にはあの座敷童が居た。まぁ元々、校内に居るんだから驚きはない。
うつむているので顔は見えない上に髪を散乱させポツンとしているため、本当の妖怪のようだった。
そんな観察をしていると座敷童はか細い声で私に話しかけてきた。
「……先生、いなくなっちゃったよ………」
なんだ。コイツも知ってたのか。盗聴していた時は知ってる素振りもしなかったのに。
「知ってるわよ……そんなことぐらい……」
「じゃあなんでこんな所にいるの?なんでついて行ってないの?」
間髪を入れずにきたこの質問に迷惑、って言われたからよ。とは答えられなかった。
「別にどこにいようと私の勝手よ、そんなことどうでもいいでしょ」
「ふぅん、そう………」
投げ遣りな返事に適当な返事が返される。目も合わさずに行われたこの質問の後、沈黙がしばらく続いたがそれを破ったのはアイツの方だった。
「アナタ、ついてくるな。って言われちゃったんだ」
それを聞いた瞬間、私の中で何かが弾ける。考える暇もなくジャージの襟を掴み座敷童を押し倒していた。
「適当なこと言わないでよ!!アンタに何がわかるっていうの!!先生と私の何が分かるのよ!言ってみなさいよ!!」
「わかるよ!!邪魔者だったん

パチン

気付いたら手が出ていた。前髪が散らばり素顔が見える。叩かれた右頬が朱に染まっていたがもう一つ、いや二つ朱に染まっていたところがあった。彼女は私の襟を掴み起きあがる。
「叩くことないじゃない!私だって先生において行かれたんだよ!?最後なんて言ったと思う!?
「もう会うことはないでしょう」だよ!!先生は結局、私のことなんてなんとも思っていなかったんだよ!?」
パチン
右頬を叩かれる。それでも私の勢いは止まらない。
「別にそれぐらいならいいじゃない!なんとも思っていなかったぐらい!私なんて迷惑と思われていたのよ!!
ただ先生のことが知りたいだけだったのに!なんでよ!なんでなのよぉ……!」
また、泣いてしまった。枯れ果てていたはずの涙がまたこぼれ落ちる。私は襟を掴んだまま彼女の胸に顔を埋める。
彼女に当たって勝手に泣いて、自己嫌悪を覚える。もう、何も考えたくなかった。
「そんなの……そんなの…私がっ…聞きたいよ………せんせいっ、なんでぇ…」
彼女もまた泣いていた。今の私なら分かる。彼女もまた、あの男に捨てられたのだろう。結局のところ、私と何一つも違わなかったのだろう。
彼女は手を私の背中の方にまわし眼を押し当てる。そして私たちは声をあげて泣いた。
その後のことは覚えていない。

 夜の宿直室に愛する男に置いて行かれた少女達の泣声が響く。
勝者のいない恋、その参加者であるひきこもりとストーカーの夜泣きは長く長く続けられた。


「あのさ、さっき叩いてごめんね…」
眼は赤いもの落ち着いたまといが謝罪する。まといの顔に水滴はもうついていなかった。
「いいよ、私も叩いちゃったしおあいこだよ」
霧はまといを見つめながら返事をする。一夜を共に泣き続け和解した二人の間には何とも言えない関係が垣間見れる。
忘れることで前に進む。その決断をした彼女達の表情は清々しかった。

 「どうしようか、もう朝だよ?」
鳥の囀りが聞こえる。一夜中泣いていたため二人は一睡もしていなかった。
「サボっちゃえばいいじゃない、担任もいないし一応は出席もしてるんだし。それに…」
「それに?」
もじもじするまといに霧が問いかける
「今日はもう寝たいわ。霧と一緒にね」
二人の顔が朱に染まる。少し恥ずかしそうに、しかし幸せそうに。そんな朱色をしていた。
「ちょ…ちょっと待ってね!今、お布団直すから!!」
霧は焦りながらくしゃくしゃになったシーツを伸ばし乱れた布団を再生させていく。
「ふふっ…そんなに慌てなくてものに」
「こういうのは早くやらなきゃ駄目なの!ほら、出来たよ」
そう言って整った布団の中にもぞもぞと入っていく霧。そして掛け布団をめくり、
「さ、一緒に寝よっ」
言われたまといはブラックホールに吸い込まれるかのように霧の居る布団の中に潜っていく。
狭い布団の中だが二人にはその狭さが嬉しかった。
「まといちゃん…温かいね……もっと近づいてもいいかな…?」
細い眼をした霧が呟く。まといは何も言わずに霧を抱きしめた。
霧もまた、絡みつくかのように手を背中にまわす。
「温かいなぁ……ずっとこうして……
彼女の口とが閉じた。それと同時に細い眼が線になった。
「おやすみ…霧……」
そう言って彼女もまたまぶたを綴じた。
朝の宿直室に傷を舐め合った少女達の寝息が聞こえる。彼女達の恋は昨夜終わった。
しかし彼女達は今朝、新しい恋を見つけた。

 数日後、不下校少女が二人に増えた。ただ、二人目ははひきこもりなのではなくひきこもりのストーカーだったという。
彼女達は互いに傷付き、そして互いに傷を舐め合った。
そんな二人はずっと一緒に居たという。そう、ずっと

(あびる×愛)飛行機雲

「あ、飛行機雲」
染みの無い真っ青な絨毯に、細長い一筋の白いきれ。
青い日差しを照り返す校舎は、古さを微塵も感じさせない。
今日はそんな日差しとは裏腹なバイオレンスな社会についての社会科見学だったのだが、なぜか私は置いてけぼりをくらってしまった。
さっさと帰ろうと靴を履き替え校庭に出たときに、後ろで聞こえたのは何かを盛大にバラまく音。
「い、いけません、私ごときが校庭を汚してしまうなんて」
目を遣ると加賀さんがゴミ箱ごと派手に転んでいた。
「大丈夫?」
「小節さん!?す、すみません、私なんかが!」
「血、出てるから」
言いながら、彼女の肘にできたかすり傷にガーゼを当て包帯で軽く縛る。
誰かが手当てをしないと、彼女が傷だらけになってしまう気がしたから。
「そ、そんな、私ごときのために手当てなど!」
「包帯とか余ってるから……、それとゴミ出し手伝うよ」
「す、すみません、すみません!私ごときのために帰る時間を延ばしてしまって!」
「気にしてないよ」
顔面蒼白で私を見つめる彼女をよそに、散らばったゴミを拾い集め始める。
どう見ても、うちのクラスのゴミだけではない。
「社会科見学には行かなかったの?」
散らばったゴミを拾い上げながら、聞いてみた。
「私ごときは皆様のご迷惑になってしまうので……」
「そんなことないと思うけど……」
「す、すみません、私なんかに同情させてしまって!」
「まあ、これでゴミは集め終わったかな」
「す、すみません!後は一人で十分なので!」
「つかみかかった尻尾だから」
そう言って私はゴミ捨て場に向かって歩き出す。
一人で持つには重過ぎるゴミ箱も、二人で持てば楽になれる。
そうわかっていても彼女の性格がそうさせない。だからこそ、私は彼女を手伝おうと思う。
「……」
「ねえ」
「すみません!すみません!」
「いや、そうじゃなくて」
「へ?」
「手、出して」
彼女が出した左手の薬指に優しく包帯を結んだ。
細くて綺麗な指先は少しだけ震えていて、私が触れていいものかとためらわせた。
「おまじないだから、はずさないでね。
 それと、これからつらいこととか私が半分持ってあげるからさ、言ってね」
「こ、これはその、いわゆる、えっと、す、すみませんー!」
なぜか顔を真っ赤にして、彼女は校舎のほうへ走っていく。
何か、気に障ることしちゃったかな……。
「あ、飛行機雲」
ふと見上げれば、飛行機雲。消えずにいつまで残っているの。
あなたと流れてゆらゆらと、移る心が飛行機雲。消えずにいつも残っていたい。


〜次の日〜

「おはよ」
「おはよう。
 ねえ、加賀さん指をどうかしたのかな、顔真っ赤だし」
「あれは私が結んだ、傷とかはないけど」
「え、左手の、薬指に?」
「そういうことになるかな」
「そっか、それで加賀さん顔が真っ赤なのかー。
 って、もしもし、あびるさん、ことの重大性に気づいてます?」
「あ、飛行機雲」
「って、聞いてないし!」
「飛行機雲って、白くて細くて長くて、包帯みたいであびるみたいだナ」
「そうかな?」
「アア」
「……そう、だといいな」